プーチン露大統領が戦術核配備でベラルーシと合意、「国際条約違反せず」
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プーチン露大統領
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、隣国のベラルーシと同国内に戦術核兵器を配備することで合意したことを明らかにしました。
イルナー通信によりますと、プーチン氏は25日土曜に放映されたロシア国営放送のインタビューにおいて、今回の配備がNPT核不拡散条約に違反しない形で実現されると強調しました。また合意の一環として、ロシアは今年7月1日までにベラルーシで戦術核兵器の貯蔵施設を建設する予定だということです。
プーチン氏はさらに、ベラルーシに戦術核兵器を搭載できる航空機を10機配備したと明らかにするとともに、核兵器を発射できる戦術ミサイルシステム「イスカンデル」をすでに同国に配備しているとも述べました。
その一方で、「ロシアはベラルーシに核兵器を渡すわけではなく、米国がこれまで他国に自らの核兵器を配備してきたように、ロシアの核兵器をベラルーシに配備するだけだ」と説明しています。
また、ベラルーシのルカシェンコ大統領が以前から自国への戦術核兵器配備に関する問題を取り上げていたと指摘しました。
さらに、今回の決定の動機は、英国がウクライナに劣化ウラン弾を供与すると発表したことにあるとしています。英国は先日、核芯に劣化ウランを使用した砲弾を戦車「チャレンジャー」とともにウクライナに供与する計画を明らかにしていました。
プーチン氏はこれを受けて、「西側が核物質を含む兵器を適用しつつあることに鑑み、ロシアは相応の反応をせざるを得ない」とかねてから警告していました。
戦術核兵器は「戦略核弾頭」への対抗に充てられますが、この弾頭は約 500 ~ 800 キロトンのダイナマイトに相当する爆発力を持ち、広範囲を破壊できるように設計されています。
戦術核弾頭は殺傷能力が非常に高く、「小さな核兵器」と呼ばれる場合もあります。
これらのタイプの武器は、小規模の攻撃や、司令部などといった近距離にある特殊な標的、または戦車や軍艦を中核まで破壊するために使用されます。
なお、これまでに発生した人類の戦争・紛争で戦術兵器を使用した国はありません。
ロイター通信によりますと、ロシアが国外に戦術核を配備するのは1990年代半ば以来のことです。
ベラルーシは、NATO北大西洋条約機構加盟国のポーランド、リトアニア、ラトビアと国境を接しています。
なお、この問題について米政府高官は、ロシアとベラルーシが過去1年間協議してきたと指摘し、ロシアが核兵器の使用を計画している兆候はないと述べました。
また、米国科学者連盟の核情報プロジェクト責任者、ハンス・クリステンセン氏は「NATOを威嚇しようとするプーチン氏のゲームの一環だ。ロシアは国内にこれらの兵器と部隊を多く持っており、ベラルーシへの配備よる軍事的効用はない」との見解を示しています。