視点
国際市場でのドル排除の影響とBRICSの役割
米ドルの排除はひとつの経済的戦略として、国際市場に注目すべき影響を及ぼしています。
新興経済国グループのBRICS加盟国による対外貿易でのドル排除に向けた取り組みは今年初めから始まり、現在では多くの国が対外貿易からの米ドル排除を検討しています。
イルナー通信は「BRICSは今年、脱ドル化の取り組みを積極的に推進しており、その枠組みで他の非加盟国に対し米ドル依存を止めるよう求めている」と報じました。
複数の報道に基づけば、現在ではBRICS加盟国だけでなく、ASEAN・東南アジア諸国連合やSCO・上海協力機構も、地域経済の振興を図るべく脱ドル化計画を真剣に検討しています。
アフリカや南米の他の多くの国も近くこの取り組みに加わり、通商貿易のサイクルから段階的に米ドルを排除することになるとみられています。こうして、より多くの国が現地・自国通貨での取引に切り替えれば、米ドルは下落傾向をたどると見られます。この問題はアメリカ経済にとって大惨事に等しいものであり、同国のあらゆる分野で深刻なインフレと雇用減少を引き起こす可能性があります。
脱ドル化により、世界の貿易収支は深刻な影響を受けると思われます。またこの政策により、国際貿易ではドルの代わりに他通貨の使用が推進され、世界貿易における各国の能力が向上してきています。
さらに、脱ドル化は米ドルの価値にも甚大な影響を及ぼし、米国の貿易・輸出力が低下することになります。一方でこの問題は、さまざまな通貨を使用する国の輸出にとって有利になります。
BRICSは最近、加盟国数を増やし、新規加盟申請を検討する意向を示しており、この組織の根本的な変化の第3波となる可能性があります。BRICSは脱ドルによる自らの経済関係の強化において重要な役割を果たしており、国際取引における自国通貨の使用を強調しています。
BRICSが設立した新開発銀行は、米ドル依存の完全終結のための3カ年計画を正式に発表しました。この計画により、BRICS加盟国の貿易口座は米ドルではなく現地通貨で決済されることになります。新開発銀行は、世界の金融セクターでの米ドル支配の終結方法を模索しています。同銀行はまたBRICSの各加盟国の首脳に対し、米ドルでの取引を減らす具体的手段を提供するとしています。
新開発銀行はこれまで、現地通貨での融資という構想とともに、米ドルでの借款支払いの停止および制限を他の発展途上国に提案してきました。この措置はドルに圧力をかけると同時に、ドルの需要を減少させることになります。
新開発銀行は各国の自国通貨の使用を増やし、BRICS加盟国の国内経済を強化するためのガイドラインを提示することになっています。各国が現地通貨を使用すれば、発展途上国の商取引や利潤獲得が成長する可能性があります。というのは、それらの国が外国為替取引で損失を被ることがないからです。したがって、世界の金融セクターは2026年までに急速に変化し、新たな国際体制に向かう可能性があります。
これらの措置は世界経済の根本的な変化につながり、各国にとっては新たな機会にもなれば試練になる可能性もあります。