視点;ヴァタネ・エムルーズ紙
ICJ判断における真の勝者は誰か?
ICJ・国際司法裁判所が26日金曜に出した暫定措置命令では、圧政にさらされているパレスチナ・ガザの人々が勝利したと言えるでしょうが、より広い視野で見れば、この命令は世界の大多数の人々に希望を与えるものだったことが分かります。
イランのヴァタネ・エムルーズ(今日の祖国)紙は記事において、「この113日間にシオニスト政権イスラエルが引き起こした悲劇が、ICJによりがジェノサイドとして公式に認められたことは、それが同政権にとって具体的な結果をもたらすものでないとは言え、覇権体制の後退を示す大きな兆候だ」としました。
犯罪者であるシオニスト政権を法廷に訴えるという南アフリカ政府の賞賛されるべき行動は、30年前に同国の人々が故ネルソン・マンデラ大統領の指導の下でアパルトヘイト撤廃(1994年)を実現させた人種差別反対運動と同じくらい歴史的なものでした。
南アフリカ政府は今回のICJの暫定措置命令について、法治体制の決定的勝利であり、パレスチナの人々のために正義の確立を目指す流れの転換点になると説明しています。
ヴァタネ・エムルーズ紙は、「ICJは、シオニスト政権に対してパレスチナ人を保護するさらなる措置を取るよう義務付けるだけで十分とし、ガザでの戦闘終了は命じなかった。それでも、国際司法当局が子ども殺しの政権であるイスラエルに対し国際法に従うようその権限において命じたのは、初めてのことであった」と説明しました。
さらに、「ICJの裁判長が元政府顧問のアメリカ人裁判官であるにもかかわらず、26日の暫定措置命令が出されたことは、見逃すことのできない点である。なぜなら、裁判官が常任・臨時を問わず自国の政策に沿って判断することは、(ICJで)これまで慣行となっていたからだ」と続けました。
その上で、「国際社会が一致団結してシオニスト政権の明らかな犯罪を非難したことで、一部大国の裁判官も今回は、(自国政策から)独立し人道に沿った命令に賛成することとなった。これは、米国に政治レベルで大きな亀裂が生まれていることを示すものでもある」と指摘しました。
また、「ICJの15人いる裁判官の国籍を見てみると、驚くべきことが分かる。それは、裁判官のうち国連安保理で拒否権を持つ常任理事国の出身者は米国、フランス、ロシア、中国の4人であり、他の11人の裁判官はそれぞれ、インド、ドイツ、オーストラリア、日本、ブラジル、モロッコ、レバノン、ソマリア、スロバキア、ウガンダ、ジャマイカの出身であることだ」としました。
そして、「このような裁判官出身国の構成は、新しい国際社会を象徴し、新たな世界秩序における変革の始まりを告げるものだ。今や、ガザはシオニスト政権の犯罪を証明して見せ、ICJも同政権を非難している」と結びました。