ドイツ人作家ギュンター・グラスの反イスラエル詩 西側の偽善も批判
(last modified Wed, 17 Apr 2024 07:27:37 GMT )
4月 17, 2024 16:27 Asia/Tokyo
  • ドイツ人作家ギュンター・グラスの反イスラエル詩 西側の偽善も批判
    ドイツ人作家ギュンター・グラスの反イスラエル詩 西側の偽善も批判

シオニスト政権イスラエルの侵略的政策は、西側の著名な思想家や知識人にとっても明白なものになっていますが、彼らの多くは、同政権の野蛮な行為を批判すべく、その心臓部に矢を射込むような優れた作品を残しています。

1999年にノーベル文学賞を受賞した、『ブリキの太鼓』などで知られるドイツの作家・詩人・彫刻家、ギュンター・グラス氏は、そのような人々の1人でした。数々の賞を受け、アメリカの複数の大学から名誉博士号も贈られたグラス氏は、2015年にドイツ・リューベックの病院において87歳で死去しました。

同氏は2012年、「言わなければならないこと」と題した反イスラエル詩を複数の西側諸国の新聞やメディアに発表して世界の注目を集め、この占領者政権の指導者や支持者らを激怒させました。

グラス氏は、ドイツが核弾頭搭載可能な潜水艦をイスラエル政権に売却したことを受けて、この詩を書いたとしています。

独紙「南ドイツ新聞」とイタリア紙「ラ・レプッブリカ」に掲載された同氏のこの詩では、核を持つイスラエル政権が世界の脆い平和を脅かしていることが指摘されました。

この詩の中で同氏は、イスラエルの核能力に対して他国が恒久的管理・監視を行うよう求めました。

 

「私がなおも、あの別の土地の名を

そこで長年、秘匿されながら

監視や検証、あらゆる査察も受けずに

核の力が増大した土地の名を

ためらって口にできないのはなぜだろう?」

(Yet why do I hesitate to name

that other land in which

for years – although kept secret –

a growing nuclear power has existed

beyond supervision or verification,

subject to no inspection of any kind?)

 

さらに次の節では、イランの核計画の制御を目的としてシオニスト政権イスラエルにドイツの潜水艦が売却されたことを、次のように表現しました。

 

「しかし今や、私自身の国が幾度となく

比較するものがないほど深い自身の罪をめぐり、詰問されている

補償だと軽々口にしながら(注)

シンプルな商談のように、潜水艦をまたもや

イスラエルに引き渡した罪で

イスラエルは例外性を持つ

それは、1発たりとも核爆弾の存在が証明されていないながらも

その恐れだけで存在証明が十分だとされた地域に

核弾頭を向けることができるというもの

私は言おう、言うべきことを」

(注:潜水艦の一部建造費はドイツが負担した)

(But now that my own country,

brought in time after time

for questioning about its own crimes,

profound and beyond compare,

has delivered yet another submarine to Israel,

(in what is purely a business transaction,

though glibly declared an act of reparation)

whose speciality consists in its ability

to direct nuclear warheads toward

an area in which not a single atom bomb

has yet been proved to exist, its feared

existence proof enough, I'll say what must be said.)

 

別の節では、シオニスト政権イスラエルの犯罪に反対している他の知識人たちに向けて、沈黙を破るよう呼びました。

 

「確かに、私は沈黙を破った

それは、西側の偽善にうんざりしていたため

私は、多くの人が沈黙から解放されることを願う

彼らは、公然と危険を引き起こしている者に詰め寄るかもしれない

武力行使の放棄のために、自分たちが立ち向かうと

そして、こう主張するかもしれない

イランとイスラエルの政府が

双方の核の潜在性と能力を、自由かつ公に査察させることを

国際機関に対し認めるべきだ、と」

(And granted: I've broken my silence

because I'm sick of the West's hypocrisy;

and I hope too that many may be freed

from their silence, may demand

that those responsible for the open danger

we face renounce the use of force,

may insist that the governments of

both Iran and Israel allow an international authority

free and open inspection of

the nuclear potential and capability of both.)

 

ノーベル文学賞受賞者でもあるグロス氏によるこの詩の発表は、世論に対する啓蒙活動と同様、シオニスト政権イスラエル指導者らの怒りを買いました。

同氏は、この詩が幅広い攻撃を受けた後、ドイツの各メディアによって誘導された自身へのネガティヴ・キャンペーンは民主主義や言論の自由のためになるものではない、と語っています。

さらに、イスラエル政権に反対する自身の立場を撤回することは決してないと、繰り返し強調しています。

また、自身の見解を正しいとしてくれる人は数多くいるものの、その意見がマスメディアで取り上げられることはない、とも指摘しています。

 

 


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