米先住民学校の知られざる実態 虐待死や不妊手術横行
人権を謳う国として一般の人々が思い描くアメリカのイメージは、その実像とは大きくかけ離れています。アメリカという国は、数百万人の先住民やアフリカから連れて来られた奴隷たちの犠牲の上に成り立っています。
【ParsToday国際】米国では、100年以上前から先住民の子供を強制的に寄宿学校に送り込み、職員らが性的虐待を加えていた事実が明らかになっています。英デイリー・メール紙によると、アメリカでは1819年から1969年にかけて、先住民の子供を家庭から引き離すために500以上の専用寄宿学校が設置されました。米ワシントン・ポスト紙は、これらの寄宿学校で行われていた先住民児童への性的虐待の実態を報じました。
寄宿学校では主に2つの犯罪が行われていました。1つ目は、ヨーロッパ大陸からの白人移民が、米大陸の先住民を絶滅あるいはそのアイデンティティをはく奪するため、このような学校を設置したということです。同様の事例はカナダでもあり、寄宿学校跡地から先住民児童の集団墓地が相次いで発見され、ローマ教皇が謝罪する事態にまで発展しました。
児童への虐待事例は、寄宿学校末期の1950年代から60年代にかけて起きました。つまり、アメリカやカナダという国がより近代化し、人権の価値を説くようになった時期が、最も人種差別の激しかった時期ということになります。
強制不妊手術と奴隷化
1930年、合衆国インディアン事務局は先住民女性の強制不妊手術に着手します。この措置は、公衆衛生の改善を名目に、時に対象の女性に知らせることなく行われました。1970年代初頭には、妊娠適齢期の先住民女性の3割に不妊手術が施されました。
1625年から1775年の間に、後に合衆国として独立宣言をする13植民地の人口は2000人から240万に膨れ上がりました。その一方で、先住民は追放され、住む場所を奪われました。1776年の独立宣言後、ヨーロッパからの移民流入は拡大の一途をたどります。移民たちは先住民と衝突し、その大部分を虐殺しました。
『アメリカのホロコースト』の著者デヴィッド・スタンナード氏は、過去500年の間に南北アメリカ大陸を中心に1億人の先住民がヨーロッパ移民により殺害されたとしています。アメリカ独立宣言で謳われた自由や幸福追求権などの理念は、先住民には一切適用されなかったのです。むしろ、アメリカ独立は先住民に対する差別・優越意識にもとづくものでした。ヨーロッパ移民は16~19世紀にかけて、アフリカから黒人奴隷3500万人をアメリカ大陸に連れてきました。そのうち1250万人が過酷な農作業などに従事させられました。
黒人奴隷はまだ公民権が与えられていなかった時代の南北戦争(1861~1865)において、白人のために従軍させられました。黒人に正式に公民権が認められるには、およそ100年後の1964年まで待たなければなりません。
しかし、その後もアメリカの有色人種は様々な差別に直面しています。こうした社会的分断はアメリカ国内の大きな問題のひとつであり、国外に目を向ければラテンアメリカや西アジアで数々の戦争犯罪を犯しています。