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米ドル排除政策は近年、多数の世界諸国、中でもアメリカの制裁政策により強制的に損失を被っている国々において優先課題として進められています。

【ParsToday国際】米ドル排除は、様々な国や地域ブロックに二国間・多国間協力や政治・通商面のやりとりの増加を検討させているだけでなく、BRICSグループなどのさまざまな同盟・組織にも新たな一歩を踏み出させています。

ロシアのプーチン大統領も以前、これに関連して、「商取引に使用される通貨は、世界経済においてその発行国が担っている役割の影響を受ける。そして今、世界のGDPの約半分を占めるグローバルサウスの国々が（その影響で）必然的に自国通貨の使用を優先事項にしているために、変化が起こっているのである」と述べています。

米ドル支配のための武器たるアメリカの制裁政策

近年、アメリカおよびその同盟諸国が行ってきた政策、中でもアメリカの政策に従わせるための圧力である各国への経済制裁は実際のところ、それらの国々が準備通貨で米ドルの割合を縮小する、さらには排除する動機を強める原因となりました。そしてそのために、ロシアと中国は現在、二国間の商取引のほとんどをルーブルおよび人民元によって行い、さらに中国は、その他の貿易の大半でも、人民元で取引を行っているのです。

IMF・国際通貨基金および米金融グループのモルガン・スタンレーでエコノミスト、ストラテジストとして活躍していたスティーブン・ジェン氏は、これに関連して、「米ドルから距離を置くという世界的な傾向は、（ウクライナ戦争が始まった）2022年2月以降、その前の15年間と比較し速度が10倍になっている」と強調しています。

BRICSに熱い視線が向けられ、さまざまな国がこの経済グループへの参加を希望していることは、世界の経済からドルを排除したいという各国の願望の表れと言えます。 BRICSのメンバー国はこの先、取引に自国通貨を使用し、一定期間後には米ドルの使用を共通のデジタル通貨に置き換えていくことを明らかにしています。

デジタル通貨に置き換えられる米ドル

現在、さまざまな国が共通のデジタル通貨使用を計画しており、これは米ドルにとって深刻な脅威になりうると見られています。

BRICSのデジタル通貨は、ブロックチェーン技術を用いることで、世界の金融デジタル化の中でも先進的な方法で問題を解決することが可能であり、それによって、国を跨いだ取引も促進され、BRICSメンバー間の通商・経済の統一性はさらに増すことになります。

BRICSが共通通貨導入を発表したことは、米ドル排除に向けた大胆な一歩であり、国際的な商取引および金融における米ドル支配への挑戦なのです。

新秩序に向けた米ドル排除

IMFのゲオルギエバ専務理事は最近、「世界の準備通貨としての米ドルから距離を置こうという動きが起きている」と述べました。このような発言は、米ドル排除の動きがこれまで以上に一般的なものとなり、二国間・多国間の通貨協定締結が広がっていることを示しています。

この件については、EUのボレル外務・安全保障政策上級代表も「米国は覇権的地位を失い、1945年以降に形成された世界秩序も失墜しつつある」と述べています。

イランと米ドル排除政策

イランは、米ドル排除政策を歓迎している国の一つであり、今年初めにはBRICSの正式メンバーにもなっています。イラン当局者らは常に、自国に政治的・経済的圧力をかけるアメリカの制裁政策を批判しながら、「米ドル排除は、米国の行う制裁の効果を軽減させ、経済が他の通貨からも利益を得られる道を作り出すのに重要な手段のひとつである。そのために我が国は、米ドル排除策の一環となるロシアおよび中国との通貨関係、そしてBRICSでの活動を拡大させている」としてきました。

米ドル排除で訪れる新たなチャンス

米ドルの支配力低下および、成長しつつある金融システムでの各国の柔軟性を高めることを目的とした、この通貨の排除プロセスは、他の国々の経済力増加に伴い、世界の政治・経済分野で活発に動くプレーヤーの顔ぶれを変えていくことになり、さらに、中国、ロシア、インド、南アフリカなどの国々に、新たなチャンスをもたらす可能性があると見られています。

アメリカ問題の専門家・研究者であるサイード・モハンマディーカーヴァンド氏は、これに関連して、「（米ドル排除の結果として）論理的にまず思い至る事は、世界の通貨システムが、米ドルを軸とした一極体制から、米ドル、ユーロ、人民元、さらに他の一部の通貨同盟がすべて重要な役割を持つであろう多極体制へと変化していく可能性だ」と記しています。

米ドル排除が起こすこれらの変化は、世界の金融界において、ブレトン・ウッズ体制の崩壊以降最大の振動をもたらすと予測されます。そのような状況になれば、新たな経済的・政治的現実が国際体制を支配したと、確信とともに語られることになるでしょう。

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