米による貿易戦争の開戦:その原因と行く末
(last modified Sun, 02 Feb 2025 07:39:35 GMT )
2月 02, 2025 16:39 Asia/Tokyo
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    米による貿易戦争の開戦:その原因と行く末

米トランプ政権は、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の関税を賦課することで新たな貿易戦争に踏み切りました。

【ParsToday国際】トランプ米大統領は、EUからの一部輸入品への関税賦課を示唆したほか、BRICSがドルを他の通貨に置き換える場合には100%の関税賦課をちらつかせ脅迫しています。

トランプ氏が「アメリカ第一」のスローガンを掲げて米大統領の座に返り咲いたことで、同国とその同盟国や貿易相手国との関係は新たな時代に突入しています。トランプ氏率いるアメリカ与党勢力は、「国家間の門戸開放政策や貿易関税の削減は最終的にはアメリカにとって不利益であり、アメリカが経済分野で自らの優位性を維持するためには過去数十年にわたり歩んできた道の逆を行くべきだ」と考えています。これに関してトランプ大統領は声明で、「関税を課していた当時、我が国は豊かだった」と述べています。ここで彼が言及しているのは、米国が海外からの輸入品に重い関税を課していた第二次世界大戦前の時代のことです。

現在、アメリカは貿易関税の撤廃または大幅な削減により輸出大国から輸入大国へと転落し、対外貿易赤字は約5000億ドルにも上ります。もう何年も続いているこの状況は、米国政府当局者から見て耐え難いものであり、あらゆる可能な手段を使ってでも変えなければなりません。そこでその手段として出てくるのが関税の引き上げです。米当局者は、このようにしてアメリカの製造業と労働者を保護したいと考えています。

しかし、カナダ、メキシコ、中国、またはEU加盟国からの輸入品に重い関税を課せば、それらの国も必然的に対抗措置として米国からの輸入品に同様の関税を課すことになります。これはアメリカの輸出にも打撃を与えるとみられます。つまり、トランプ氏が開始した関税戦争は輸入品の価格上昇を招くのみならず、アメリカの輸出市場に損害を与え、結果的にアメリカ国民にダブルパンチを加えかねません。実際に、トランプ大統領自身もアメリカ国民への風当たりが強くなってきている事実を認めています。

しかし、そうした要素をもってしても、貿易戦争への突入・さらなる扇動というトランプ氏と同政権の決定に影響を与えてはいないようです。彼らの見解では、米国経済は非常に大きく、特にカナダ、メキシコ、あるいはEU加盟国のような国との貿易戦争に屈するほど非力ではないことから、これらの諸国は最終的には米国の提示する条件を呑むとみられているのです。アメリカはまた中国に関しても、政治・安全保障上の圧力強化により中国に妥協を迫ろうとしています。

しかし、外国との貿易戦争におけるアメリカの最大の弱点は国内に潜んでいます。アメリカ国民は輸入品の価格上昇と輸出市場の喪失による物価上昇に耐えられず、政府にこのやり方を再考するよう迫る可能性があります。特に、貿易戦争によって引き起こされた国内の不満により、来年の中間選挙で共和党が敗北し、トランプ政権が同盟国との貿易戦争の撤回を迫られることも考えられるのです。

 

 


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