米大統領の平和への約束とイエメンの流血の現実;国際社会の沈黙の影で進む民間人殺害
(last modified Wed, 30 Apr 2025 07:28:53 GMT )
4月 30, 2025 16:28 Asia/Tokyo
  • 米大統領の平和への約束とイエメンの流血の現実;国際社会の沈黙の影で進む民間人殺害
    米大統領の平和への約束とイエメンの流血の現実;国際社会の沈黙の影で進む民間人殺害

イエメンでは、トランプ米大統領が掲げた平和への公約とは完全に矛盾する形で米軍の空爆が続き、民間人の犠牲者が劇的に増加しています。

複数の報道によりますと、トランプ米大統領の就任から3か月も経たないうちに民間人の犠牲者数が急増しており、そうした中で米の新たな軍事戦略は民間人保護に関する従来の制限を無視した格好となっています。

独立系メディアの報道によれば、最近の「ラフ・ライダー」作戦によるイエメンでの米軍攻撃だけで、少なくとも158人の民間人が死亡し、数百人以上が負傷しました。

この統計は、ジョー・バイデン前米大統領の任期中(1年間で85人の死亡)と比較すると、憂慮すべき増加を示しています。中でも、最大の流血を引き起こした攻撃の一つは、イエメン北部サアダ州にある移民収容センターへの爆撃であり、この爆撃では68人が命を落としました。

【Parstoday西アジア】イラン学生ISNA通信によりますと、トランプ氏は選挙運動中に「平和の候補者」を盛んに自称していたものの、イエメンでの軍事作戦は紛争の緩和につながっていないばかりか、爆撃の激化により人道危機をさらに深刻化させています。

イエメンは11年間の戦争の後、飢餓と荒廃に苦しむ中、同国西部フダイダ州のラス・イッサ港などの重要施設に対する最近の米国の攻撃(死者80人)により、状況はさらに悪化しています。複数の兆候から、米国防総省は民間人の犠牲者を減らすための従来の政策を弱めていることが伺えます。

こうした主張を裏付けているのが、ヘグセス米国防長官による「民間人被害軽減政策局」の閉鎖です。このアプローチは、ガザにおけるシオニスト政権イスラエルの行動に酷似しており、国際法違反の懸念を引き起こしています。アメリカと英などの米の同盟国との旧来からの緊密な関係も、これらの政策の影響を受けています。

イギリスは最近の作戦には参加しておらず、米戦闘機への空中給油も停止しています。このことは、暴力の激化をめぐり西側同盟国間で足並みがそろわない現状を反映していると言えます。西アジアなどを管轄するCENTCOM米中央軍は、「米軍の攻撃により、イエメンのイスラム抵抗組織アンサーロッラーの活動が69%減少した」と主張していますが、通商関係の情報データによれば、紅海の治安は未だ正常に戻っていません。

専門家らは、恒久的な解決策は戦争を激化させることではなく、外交と包括的な停戦にあると見ています。全体的に見て、イエメンにおけるトランプ大統領の軍事政策は、彼自身が掲げる平和の公約に反するとともに、人道危機の悪化をも招いています。

民間人犠牲者の増加、人道支援の減少、国際社会の否定的な反応から、この戦略が直面している課題が浮き彫りになっています。このことからも、唯一の解決策は交渉に戻り、無益な暴力を止めることであると考えられるのです。

 

 


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