グレタさん乗るガザ支援船「マドリーン号」とは?
(last modified Sun, 08 Jun 2025 11:46:33 GMT )
6月 08, 2025 20:46 Asia/Tokyo
  • グレタさん乗るガザ支援船「マドリーン号」
    グレタさん乗るガザ支援船「マドリーン号」

スウェーデンの活動家グレタ・トゥーンベリさんらが乗った支援船「マドリーン号」は、イスラエルによるガザの人々へのジェノサイドと封鎖の最中、人道的で危険を伴う航海を始めました。

【ParsToday国際】2023年10月以来、イスラエルはガザの人々に対して攻撃を行い、数万人が犠牲になり、ガザ地域は過酷な封鎖に陥っています。そのような中で、マドリーン号はガザの苦しむ人々を助けるために、非常に危険な航海を開始しました。この船は、連帯と希望のメッセージを運び、貴重な人道支援物資を携えて、現在ガザの海岸近くに到達し、地中海の波の中で抵抗と人道主義の旗を掲げています。この記事では、この船の任務の詳細を紹介します。

 

「マドリーン」という名前の由来は?

マドリーンという名前は、ガザ出身の初の女性漁師「マドリーン・クラブ」の名にちなんで名付けられました。この名前は、忍耐と闘いの象徴です。

マドリーン号

 

この人道的任務を支えているのは誰か?

「ガザ封鎖を打破する国際委員会」は「自由船団連合」の一部として、この航海の組織を担当しています。この運動は2010年から始まり、これまでに36隻の船がガザに向けて出航しています。

 

マドリーン号はいつ出航したのか?

2025年6月1日、イタリアのシチリア島カターニア港から、2000キロメートルに及ぶ地中海の航海が始まりました。現在、マドリーン号はエジプトの海域近くにあり、ガザへ向かっています。

マドリーン号

 

マドリーン号の積み荷は?

組織の関係者によると、マドリーン号は重要かつ象徴的な援助物資を積んでいます。その内容は、薬、パン、小麦粉、米、粉ミルク、ベビー用おむつ、女性用衛生用品、海水淡水化設備、杖、そして子ども用の義足です。乗船している人権活動家ヤスミン・アジャール氏は、目的は単に支援物資を届けることだけでなく、ガザの人々を救うための道を開くことだと述べています。

また、上記委員会の会長であるザーエル・ビラウィ氏は、この航海を「愛、平和、連帯の叫び」と捉えており、政府がガザ封鎖と、200万人以上のパレスチナ人の基本的なニーズに無力であることへの抗議だと述べています。

ビラウィ氏は「船は小さいが、そのメッセージは偉大であり、自由な国々の責任感の象徴であり、この犯罪を終わらせるための呼びかけだ」と語っています。

 

誰がマドリーン号に乗船しているのか?


マドリーン号には12人の勇敢な活動家が乗り込んでいます。主なメンバーは、スウェーデンの環境・社会正義活動家グレタ・トゥーンベリ、フランスの欧州議会議員リマ・ハッサン、アルジャジーラの記者オマール・フィアズ、フランスのプラットフォーム「ブラスト」の記者ヤニス・モハメディ、自由船団の経験豊富なフランスの活動家パスカル・モリエレス、ブラジルのジャーナリストでパレスチナ支持者のティアゴ・アヴィラ、フランスの医師バプティスト・アンドレ、ドイツ・クルド系の人権活動家ヤスミン・アジャール、フランスの気候活動家リヴァ・フィヤール、トルコの活動家スワイブ・アルドゥ、スペインの海洋保護団体「シー・シェパード」のメンバーであるセルヒオ・トリビオ、オランダの船舶工学の学生マルコ・ファン・レニスなどです。

マドリーン号の乗員ら

マドリーン号はいつガザに到着するか?

すべてが計画通りに進めば、この船は9日にガザ海岸から100海里の距離に到達する予定です。ヤスミン・アジャール氏は、船がエジプトの海岸近くを航行しており、ガザ封鎖を打破する国際委員会は今後数時間を「運命を決める時間」と考えていると表明しました。

 

イスラエル政権の反応は?

イスラエルは、マドリーン号がガザに入るのを阻止することを明言しており、暴力の使用をも辞さないと脅迫しています。これは10人が殺害された2010年のマヴィ・マルマラ号への攻撃の再現となる可能性があります。2025年5月にも、イスラエルはアルザミール号にドローン攻撃を行っており、現在、海軍特殊部隊がマドリーン号の拿捕の準備をしているという報道がなされています。

エルサレム・ポストは、軍が船を押収し、活動家を拘束する可能性があると報じています。人権団体は、この行動を国際法違反としています。

一方、ラシャド・アルバズ氏は、マドリーン号がイスラエル製と思われるドローンの攻撃を受けたものの、ガザ向かって航行を続け、数時間前にはエジプト領海に入ったと語っています。

 

なぜイスラエルはマドリーン号を恐れているのか?

1.犯罪の暴露の恐れ:イスラエルは、ガザの人々を死の包囲網に閉じ込めている現実を世界に見られたくない。独立した支援物資の到着は、イスラエルによる「安全」という嘘を暴露する。

2.プロパガンダの敗北:市民団体の支援物資は、ガザへの支援を妨げているのがハマスではなくイスラエルだと証明する。この政権は安全保障を口実に、子どもや病人にさえ薬を渡さない。

3.世界的な連帯の恐れ:人道的行動は、世界の人々をイスラエルの占領とジェノサイドに反対させ、BDS運動と同様に連帯を生み出す。

4.封鎖の違法性:国際法において、ガザ封鎖は戦争犯罪であり、この船が封鎖を破ることでイスラエルの正当性が問われる。

 

なぜこの航海は重要なのか?

マドリーン号は単なる支援物資の運搬船ではなく、市民の抵抗の象徴であり、ガザの悲劇に対する世界の沈黙への抗議の叫びです。マドリーン号は、脅威の嵐の中で勇敢にガザへと向かっています。この航海は、連帯の新しい歴史の1ページを刻むかもしれません。

 


ラジオ日本語のソーシャルメディアもご覧ください。

Instagram     Twitter