トランプ大統領による前代未聞の関税:米国の消費者の支払額は?
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米国の消費者はトランプ大統領による前代未聞の関税によりいくら支払うことになるのか?
米国の総輸入税率が約100年ぶりに、前例のないレベルに達しました。
アメリカで数十カ国からの輸入品に新たな関税が課せられる中、トランプ米大統領の貿易政策が同国の消費者や企業に与える影響の規模がより明らかになりつつあります。
【ParsToday国際】米NBCニュースによりますと、ほとんどの国が米国による15%の関税に直面しているとともに、アジア諸国の多くは19%、その他の国は20%から50%の関税に直面しています。
さらに、貿易協定が成立しない限りは中国製品に対する55%の関税も来週発効する予定です。アメリカ政府の最新データによれば、去る6月以来この関税により米国では食料品、家具、家電製品の価格が上昇しています。米イェール大学予算研究所の推計によりますと、この関税は短期的には価格を1.8%上昇させると予想されており、これは米国の年間世帯収入が2400ドルの減少することを意味します。
現在までの経緯
トランプ大統領は去る4月に66カ国、EU欧州連合、台湾、フォークランド諸島(南大西洋にあるイギリス領の群島)からの輸入品に包括的な関税を課しました。この措置の目的は、米国内製造業の保護と世界貿易の均衡化とされていました。トランプ大統領は短期間の猶予の後、全般的に10%の関税賦課を実施に移し、その後今月1日に関税の引き上げを警告した後、ついに今月7日に発効しました。また、カナダ製品に35%、ブラジル製品には50%の関税を課しています。トランプ大統領は最近、インドによるロシア産原油購入への対抗措置として、インドからの輸入品に対する関税を25%から50%に引き上げる大統領令に署名しました。加えてアルミニウム、鉄鋼、医薬品に対する分散型関税も従来通り適用されています。
物価上昇が開始
米国商務省は、去る6月に物価が上昇したと報告しています。中でも、衣料品と履物類が最も関税の影響を大きく受けており、履物は39%、衣料品は37%それぞれ上昇すると推定されています。現在、アメリカ国民は輸入品に対して平均18.6%の関税を課されている計算になり、これは1933年以来の最高水準となっています。
食品と飲料がさらなる値上げへ
超党派の税務財団が行った分析によれば、米国の生産量が国内需要を満たすには不十分であるため、関税によって食品価格が上昇する可能性があります。特に魚、コーヒー、アルコール飲料、バナナ、ビールが値上げされる可能性があるとされています。アルコール業界の労働組合は、ヨーロッパ産飲料に15%の関税が課された場合、2万5000人以上の雇用が失われ、売上高は20億ドル減少する可能性があると警告しています。
自動車価格は横ばい
イタリアのフェラーリなど一部の自動車メーカーは価格を引き上げましたが、大半のメーカーは関税に関するより具体的な情報を待っています。しかし、状況は変化する可能性があり、米ゼネラルモーターズは、関税の影響は第3四半期にさらに顕著になると警告しています。トヨタも第2四半期の利益が37%減少したと報告しており、これはトランプ大統領の関税によるものだとしています。
いくつかの点は依然として不透明
新たな関税が導入されたものの、これらの政策の将来は依然として不透明です。トランプ大統領が緊急権限法を用いて関税を課したことは法的に問題となっており、最高裁判所まで争われる可能性が高くなっています。中国製品への関税はまだ確定していません。トランプ大統領はまた、eコマース(電子商取引)企業が関税回避に利用していた800ドル未満の低額製品に対する免税措置を廃止しました。この免税措置は、今月29日からすべての国に対し廃止される見通しです。