米国で開催された反トランプ抗議デモの目的とは?
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全米で数百万人もの市民らが「ノー・キングス(王はいらない)」と称した抗議デモを開催し、第2次トランプ大統領政権及び、同大統領の「権威主義的な傾向」に抗議しました。
(last modified 2025-10-20T10:13:05+00:00 )
10月 20, 2025 17:02 Asia/Tokyo
  • 全米で「王はいらない」反トランプ・デモが開催
    全米で「王はいらない」反トランプ・デモが開催

全米で数百万人もの市民らが「ノー・キングス(王はいらない)」と称した抗議デモを開催し、第2次トランプ大統領政権及び、同大統領の「権威主義的な傾向」に抗議しました。

今月18日、全米50州に加えてカナダ、メキシコ及び欧州諸国を含む複数の国で抗議行動が行われ、参加者らが「王はいらない」と訴えました。去る6月に続く第2弾となるこのイベントは第2次トランプ政権発足後最大規模となり、リベラル団体「インディビジブル」、ムーブオン、ヒューマン・ライツ・キャンペーン、労働組合など、200以上の革新的な団体のネットワークによって組織されたものです。推定400万人から600万人が参加したとされるこのデモは、2017年のトランプ反対運動を上回り、近年におけるアメリカ史上最大の1日がかりの抗議活動と評されました。

今回のデモは、複数の目的により行われています。まず「王はいらない」というスローガンは、ドナルド・トランプ氏の行動と発言を直接指すもので、抗議者らは彼の一連の行動を「米国における民主主義の弱体化および権威主義体制の確立を狙った試み」と見なしています。また彼らは、トランプ氏の「終身権力」志向や、大統領の3期目就任といった法的制約の回避を狙ったと見られる発言を、憲法に対する深刻な脅威だと考えています。

このデモが目指しているのは、アメリカには国王がいないことを強調することによる、民主主義の原則への信頼の回復でした。

主な動機の一つは、トランプ政権の厳格な移民政策、特に民主党が支配する都市におけるICE連邦移民税関捜査局の大規模な活動への反発でした。デモ参加者らは、これらの活動を軍事占領として非難するとともに、地域社会への攻撃、そして抗議活動の鎮圧や、地方自治体の許可なしでの都市統制を目的に軍隊を違法に利用しているとみなし、その終結を要求しています。

これらの人々はまた、医療や教育といった公共サービスの削減や、イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグといった億万長者に有利な経済政策にも抗議しました。首都ワシントンD.C.では民主党無所属のバーニー・サンダース上院議員が演説し、これらの政策を億万長者に有利な経済だとして、資産の公平な再分配を求めています。

全米規模で行われたこの抗議デモでは、トランプ氏の個人的な利益を目的とした税金の利用や金融汚職も非難の対象となりました。

この抗議行動の長期的な目標は、トランプ大統領に反対する「サイレント・マジョリティ(静かなる多数派)」を結成して、広範な国民の支持を得ているという彼の主張に異議を唱えることとされています。主催者らは、この抗議活動を、2026年の中間選挙に向けた市民の動員を目指しての、より広範な運動の足掛かりにしようとしていました。デモは大きな初期的成果を上げており、今後大きな波及効果をもたらす可能性があります。

バーニー・サンダース議員、俳優のジョン・キューザック氏やロバート・デ・ニーロ氏、ビル・ナイ氏といった著名人も参加したこの大規模なデモには若者、退役軍人、マイノリティを含む数百万人が参加し、トランプ大統領の政策に反対する幅広い結束を示し、世界的な注目を集めることとなりました。もっとも、チャック・シューマー及びコリー・ブッカー両上院議員といった民主党派が今回の抗議行動をアメリカへの愛の表明だとした一方で、マイク・ジョンソン下院議長やJ・D・ヴァンス副大統領といった共和党派はこれをアメリカへの憎悪の表明だと批判しています。トランプ大統領自身も、戦闘機からデモ参加者に泥を投げつける風刺的な動画を投稿し、今回のデモを揶揄しました。しかし、これらの一連の反応は、アメリカにおける政治的な分断を浮き彫りにした形となっています。

同時に、抗議活動は民主主義、移民、公民権といった問題への世界的な注目を集めるとともに、米連邦政府に対し益々、都市への州兵派遣の再考を迫っています。また、市民抵抗運動の強化につながり、2026年の選挙に影響を与える可能性も指摘されています。

しかし、このような抗議活動でさえ、トランプ氏とその支持派が現在の政策方針を見直すきっかけとなる可能性は低いと思われます。共和党員、特にトランプ氏を支持する集団MAGA(Make America Great Againの略称:「アメリカ合衆国を再び偉大な国にする」)は、アメリカで保守的な政策を実施し、リベラル派や左派を公共の場から排除するための史上まれに見る機会が生じたと考えています。したがって、アメリカでは今後数週間から数ヶ月の間に政治・社会的緊張が高まることが予想されます。

 

 


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