急ピッチで進む欧州の対米依存削減;技術・防衛・エネルギー戦略の再定義
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ヨーロッパが急ピッチで対米依存を削減
欧州とアメリカの間の政治的緊張が高まる中、欧州各国政府および企業が技術、安全保障、エネルギー、金融システムの分野におけるアメリカへの依存削減に向け新たな取り組みを開始しました。有識者の見解によれば、このプロセスは時間を要すると考えられるものの、大西洋を隔てた欧州とアメリカの関係の均衡が徐々に変化しつつあることを示唆しています。
近年、EU欧州連合は戦略的独立性の強化に向けた長期計画を推進しているとの報道がなされており、この計画は米国の政策、特に欧州同盟国に対するドナルド・トランプ現大統領の姿勢の最近の変化を受けて勢いを増しています。欧州は依然として米国を主要な貿易・安全保障パートナーと見なしてはいるものの、欧州当局者は対米関係における「リスク軽減」の必要性について言及しています。【Pars Today国際】この記事では、欧州と米国の経済・貿易関係を再定義する理由について深掘りしていきます。
経済・貿易関係の再定義を目指すヨーロッパ
西側メディアの報道によれば、欧州は過去数十年にわたり、安全保障については米主導の軍事同盟組織であるNATO北大西洋条約機構に、経済成長についてはアメリカの技術に依存してきました。しかし、デンマーク自治領グリーンランド購入を初めとするアメリカの最近の発言や政策により、欧州の指導部の間で懸念が高まり、経済パートナーが多様化する傾向にあります。EUはここ数ヶ月、インド、インドネシア、メルコスール・南米南部共同市場圏(関税撤廃等を目的に発足した関税同盟)などの国々と新たな貿易協定を締結し、オーストラリアを含む他のパートナーとの交渉も再開しました。しかし、専門家の見解では、経済面における欧州の対米依存度は依然として高く、その低下には何年もかかると見られています。
安全保障と防衛分野の進展
欧州の戦略的独立に向けた取り組みにおいて、最も重要な分野の1つとされているのは防衛分野です。一部の欧州諸国の指導者は、EU欧州連合が独立した集団防衛メカニズムを強化すべき時期が到来したと考えています。2009年以降、EU条約(リスボン条約)第42条7項は共同防衛の問題を規定していますが、実際にはNATO条約と米国の軍事支援上の役割により、このようなメカニズムの必要性は低下していました。しかし、最近の情勢変化を受けて、一部の欧州諸国は、欧州安全保障支援に対するアメリカの約束順守の程度に疑問を呈しています。この点に関して、EUは独立した軍事指揮構造の強化計画を課題に掲げています。
技術面での独立への道
ヨーロッパのもう1つの懸念材料は、アメリカ大手テクノロジー企業への依存です。フランスを含む一部のヨーロッパ諸国政府は、政府職員が特定のアメリカ製プラットフォームを使用することを禁止し、自国製のシステムへの置き換えを検討しています。同時に、欧州議会ではアメリカ製のソフトウェアや機器の使用削減をめぐる議論が交わされています。EUの技術専門家は近年の経験から「機密技術分野で単一の国や企業に依存すると、安全保障上および経済上のリスクが生じる可能性がある」とみています。
エネルギー源と金融システムの多様化
エネルギー分野において、EUは限られた供給源への依存度を低減しようと努めています。確かに、米国は欧州のガス供給に大きく貢献していますが、欧州当局は依存先をロシアから米国に置き換えることで新たな課題が生じる可能性があると警告しています。そのため、アフリカ諸国、西アジア、カナダを含む新たな供給国との協議が議題に上がっています。また金融分野では、EUは米国の決済システムへの依存を減らす方法を模索しており、独立した決済手段として「デジタルユーロ」を発行する計画が議題に上がっています。総括すると、ヨーロッパの最近の動向からは、ヨーロッパが米国との関係における新たなバランス構築を目指していることが見て取れます。これは、決してアメリカとの戦略的関係の断絶を意味するものではありませんが、ヨーロッパが独立性を高め、世界情勢においてより大きな役割を果たそうとする努力の表れと見なせると思われます。

