ウクライナの対ロシア戦争敗北はEUを崩壊させるか？

西側のアナリストらの間で、ロシアの対ウクライナ戦勝は欧州の安全保障を脅かすのみならず、EU欧州連合の崩壊にもつながる可能性があると見られています。

欧州の複数の著名シンクタンクが発表した分析によれば、ウクライナがロシアとの戦争に敗北した場合、EUにとって壊滅的な結果になりかねないということです。西側諸国の著名なアナリスト、ティモシー・ガートン・アッシュ(Timothy Garton Ash)氏は最新の分析で、「ロシアの勝利はEUの崩壊をまねく可能性がある」と警告しています。

ノルウェーのシンクタンク・コリスク(Corisk)およびNUPIノルウェー国際問題研究所の共同研究によれば、ロシアが勝利した場合、欧州は最大1兆8000億ユーロの損失を被る可能性があると示唆されています。これには、ウクライナへの支援、600万人から1100万人の新たな難民への対応、そしてロシアの脅威に対抗するための軍事力強化などが含まれます。

アナリストらは、ロシアの勝利が世界的な危機を悪化させ得ると警告しています。中国は台湾への圧力を強め、北朝鮮は韓国への挑発をエスカレートさせる可能性が指摘されています。一方、ドナルド・トランプ米大統領は中国への注力を強化するため、ウクライナへの軍事支援を縮小しているのが現状です。

ドイツの軍事アナリスト、マルティン・ヴィンクラー(Martin Winkler)氏も、ウクライナ駐留のロシア軍は「NATO北大西洋条約機構軍のどの軍よりも倫理面で優れた機能を果たしている」と強調しています。同氏によれば、戦争とは継続的な学習と適応のサイクルであり、ロシアはこの点において非常に速いペースで進んでいるということです。

ウクライナが敗北を回避するには、1～2年以内に1500～2500両の戦車、2000～3000基の砲兵システム、そして800万機の無人機が必要になります。しかし、ベルギーのシンクタンク「ブリューゲル」は、ドイツとヨーロッパがロシアの兵器生産に追いつくには数十年かかると警告しています。

これらの分析は、EUという欧州共同体が存亡の危機に瀕しており、現在の決定が今後数十年にわたるEU将来を決定する可能性があることを裏付けています。

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