その他のメディア|現代版海賊行為と米植民地主義の復活;ベネズエラ石油の公然たる略奪
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資源の略奪、および自国の見解の強要、そして経済・海事的手段による圧力行使政策は、もはやアメリカの外交政策の本質の一部であり、トランプ現米大統領はそれを露にしたに過ぎません。
(last modified 2025-12-22T10:41:06+00:00 )
12月 22, 2025 19:25 Asia/Tokyo
  • 現代版海賊行為と米植民地主義の復活;ベネズエラ石油の公然たる略奪
    現代版海賊行為と米植民地主義の復活;ベネズエラ石油の公然たる略奪

資源の略奪、および自国の見解の強要、そして経済・海事的手段による圧力行使政策は、もはやアメリカの外交政策の本質の一部であり、トランプ現米大統領はそれを露にしたに過ぎません。

ドナルド・トランプ米大統領のベネズエラ関連発言は、彼の物議を醸す発言や選挙運動で使われるレトリックの枠には収まりきらないものです。大統領が「ベネズエラは我々の石油権益を奪った」と公言し、米国が「全てを取り戻したい」と主張する時、それは単なる政治的発言ではなく、長年にわたり米国外交政策の中核を成し、しかも外交用語、道義的主張、人権スローガンの背後に隠されてきたアメリカの世界観を率直に表現したものと言えます。

【ParsToday国際】メフル通信によりますと、トランプ氏は先人者とは異なり、この論理を隠そうともせず、逆に自明の権利として提起しています。つまり、彼の持論では他国の資源を所有することは当然であり、要求に値する権利である、ということです。この発言の重要性は、初めて「合法的な略奪」の論理が機密文書や批判的な分析という枠組みではなく、アメリカの最高権力者の口から表明されたという点にあります。

この発言からは、アメリカの政治エリートの一部が「国家主権の概念はアメリカの利益と衝突しない範囲でのみ有効である」と考えていることが明らかになっています。国が独立の道を歩み始めると、その資源はその国民の財産ではなく、「アメリカの失われた権利」と定義されます。トランプ氏の演説を一メディア喧騒から戦略文書へと変貌させた点は、まさにここにあります。

南米ベネズエラもこうした論理における例外ではなく、逆に示唆に富む例となります。世界最大の石油埋蔵量を誇るベネズエラは、長年にわたりアメリカの意向に反し独立したエネルギー政策と経済政策の策定に努めてきました。しかしトランプ氏から見れば、この独立性自体がそもそも「違反」であり、アメリカが自らをその所有者であり監督者とみなす体制への違反となります。ここで重要な疑問は、もし米国大統領が今日ベネズエラについてこのように主張するなら、同じ論理が明日は他の国々に適用されない保証はどこにあるか、ということです。

今まさにここで、新植民地主義の論理が顕在化しています。この論理では、各国は国際法ではなく、米国中心の秩序体制への遵守ぶりに基づいて評価されることになります。この軌道から外れた国は、即座に「脅威」「ならず者国家」「国際体制秩序への違反者」というレッテルを貼られ、その国の資源は圧力の道具、あるいは奪還の標的として狙われます。現在この立場にあるのがまさにベネズエラであり、米国の外交政策の歴史を振り返ると、その対象はますます拡大しています。この論理は、中南米から西アジアに至るまで一貫しており不変です。つまり資源は、自らの意志を押し付ける力を持つ者のものとされるのです。

新しい言語とツールを用いた旧式の略奪

この論理を19世紀の旧式植民地主義と比較することは、誇張されたアナロジーというよりも歴史的分析と言えるでしょう。当時、植民地勢力は資源の搾取と影響力拡大を目的とした他国への進出を公然と宣言していました。そして今日では、「制裁」「経済的圧力」「エネルギー安全保障」「地球規模の脅威への対処」といった新しい語彙を用いて、同じ目的が追求されています。しかし、言語的な重層を取り除いても、その核心は変わっていません。

トランプ大統領は、アメリカの要求を明言することで無意識にこの歴史的連続性を露呈させたことになります。彼は、植民地主義の過去と現在における主な違いは意図ではなく手段にあることを示しています。かつての手段は軍艦と軍事占領だったのが、今日は世界金融システム、域外制裁、そしてエネルギー輸送ルートの支配となっています。これは旗印のない植民地主義であり、倫理を謳いながら実際には略奪という論理に従っていることに他なりません。この文脈において、トランプ氏の発言は一逸脱ではなく、数十年にわたり外交用語により覆い隠されてきた同じ論理を忠実に表現することへの回帰だと言えます。

石油タンカーの拿捕から諸国民の権利奪取へ

この論理の具体的な現れの一つが、「現代版海賊行為」と言えるものです。今日の世界では、もはや黒旗を掲げる海賊は不要なのです。石油タンカーの拿捕、船会社への脅迫、そしてエネルギー貨物の押収は、「制裁の実施」という名目で政府の公式命令によって行われています。この傾向は、ベネズエラの事例において明確に見られます。米国はベネズエラの石油販売ルートを遮断しただけでなく、貨物の拿捕に直接的または間接的に関与してきています。

この行為をさらに危険なものにしているのは、国際体制においてこれを常態化させようとする試みです。海賊行為が法的手段やメディアの庇護の下で行われる場合、法と武力の境界線は完全に曖昧になります。このような状況では、より力を持つ国は、ゲームのルールを自国に有利に書き換えることができることになり、トランプ氏の発言はこの現実を明確に物語っています。アメリカの論理では、アメリカの政策に沿わない国の手に資源が渡った場合、それらの資源は潜在的に「押収可能」とみなされるのです。

 

 


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