グリーンランドは次のベネズエラになるか?
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デンマークのフレデリクセン首相が、同国の自治領グリーンランドの併合・領有に関するドナルド・トランプ米大統領の新たな主張を拒否するとともに、アメリカに対し旧来からの同盟国への脅迫を止めるよう求めました。
(last modified 2026-01-07T08:07:00+00:00 )
1月 06, 2026 18:14 Asia/Tokyo
  • デンマーク自治領の世界最大の島・グリーンランド
    デンマーク自治領の世界最大の島・グリーンランド

デンマークのフレデリクセン首相が、同国の自治領グリーンランドの併合・領有に関するドナルド・トランプ米大統領の新たな主張を拒否するとともに、アメリカに対し旧来からの同盟国への脅迫を止めるよう求めました。

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、前例のない歯に衣着せぬ口調で、トランプ氏のグリーンランド「占領」に関する新たな主張を「完全に愚鈍である」だとし、アメリカに対し旧来からの同盟国への脅迫を止めるよう求めています。

この激しい反応は、デンマークや他の欧州各国の政府が米国の戦略的行動の根本的な変化を深く懸念していることを示すものであり、この情勢変化はアメリカの対ベネズエラ軍事作戦および同国大統領の拘束・拉致を受けて、さらに憂慮すべき様相を呈しています。

もっとも、グリーンランドに関するトランプ氏の主張は決して目新しいものではなく、同氏は第1次政権の在任中にも、このデンマークの自治領を「買収」あるいは併合すると繰り返し発言していました。しかし今回の発言が前回と違う点は、米国が地政学的目標を達成するために、直接的な軍事介入や他国の国家主権への露骨な侵害に訴えることも厭わない姿勢を事実上示している状況下で提起されていることです。

南米ベネズエラ首都カラカスでの軍事作戦及び、同国のニコラス・マドゥロ大統領の逮捕・拉致は、ヨーロッパの観点から見れば、現代の国際政治におけるレッドラインを変え、これにより、グリーンランドに対するトランプ大統領の脅迫が単なる「物議を醸す発言」のレベルから「あり得るシナリオ」のレベルにまで引き上げられたといえるものです。

デンマーク政府の反応は、まさにこの文脈において解釈できるものです。フレデリクセン首相はデンマークの国家主権を擁護し、「アメリカによるグリーンランドの支配」は考えられないと強調するとともに、国際法秩序および武力による国境変更の禁止原則について明言しました。この姿勢は、ヨーロッパにおけるより根深い懸念を反映しており、列強の帝国主義的論理の復活と、第2次世界大戦後の欧州安全保障の基盤を形成してきたルールの弱体化に対する懸念だと言えます。

グリーンランド自治政府も世論の鎮静化をはかり、この危機が国内の政治的衝撃に発展しないよう努めています。グリーンランドのイェンス・フレデリック・ニールセン首相は、アメリカ国旗の色で領土の地図を公開したあるホワイトハウス高官の妻からのメッセージを露骨な「無礼行為」だとし、「SNS上のメッセージによってグリーンランドの将来が決まることはない」と強調しました。

この反応は、人口こそ少ないものの地政学的位置と重要な鉱物資源により大国間の競争の焦点となっているこの世界最大の島の法的、政治的地位が軽視されることに対し、グリーンランド社会が益々神経を尖らせていることを反映しています。

欧州レベルでは、デンマークを越えて反応が広がっています。中でもフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、デンマークの主権と領土保全に対する「揺るぎない」支持を強調し、アメリカに明確なメッセージを発信しようと努めました。欧州は、国境境変更の脅威に対し沈黙を決め込むことはないと思われます。

欧州委員長もデンマークとグリーンランドの人々への連帯を表明し、同盟国やパートナーとの協議を継続すると述べました。これは外交的な表現ではあるものの、予測不可能な米国の政策に対するヨーロッパの集団的かつ連携した対応を模索していることを如実に物語っています。

今日、ヨーロッパを悩ませているのはグリーンランドだけではありません。根本的な問題は、ヨーロッパの旧来からの同盟国である米国自身が不安定化要因となりつつあるという、新たな行動パターンにあります。現在、ヨーロッパのシンクタンクでは「安全保障や経済的利益を理由に南米ベネズエラが軍事介入の標的となるなら、北極圏を含む他の地域にも同様の論理が適用されないという保証はどこにあるのか」という疑問が、本格的な問題として提起されています。

結論として、トランプ大統領のグリーンランド関連の主張に対する、デンマーク政府をはじめとする欧州諸国政府の対応は単なる領土防衛にとどまらず、国際体制秩序の基本原則を守ろうとする試みだと言えます。欧州諸国は、こうした主張に対し沈黙を決め込むことが、強制的な政策の常態化を招きかねないことを十分熟知しています。

したがって、デンマーク、フランス、そしてEUの最近の立場は、これまで以上に侵食にさらされている体制における最低限の安定性と法の支配の維持を目指す欧州のより広範な努力の一部と見なすべきでしょう。

 

 


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