米国が進出したあらゆる場所で安定が失われた理由とは?
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2021年当時、シリア北東部ハサカ県の油田付近を巡回する米兵
アメリカの外交政策を理解するには、ここ数十年にわたる同国の軍事介入の役割を考慮する必要があります。
【Pars Today国際】イルナー通信によりますと、ベトナムからアフガニスタン、北アフリカ・リビアからイエメンまで、現代史は様々な国における米軍の軍事駐留で溢れかえっています。アメリカは常に「国家安全保障」「テロとの戦い」「民主主義の普及」を軍事駐留の公式な理由として挙げていますが、歴史的に検証すると、これらの介入の多くはエネルギー資源や地政学的ルートの支配、そして競争相手の封じ込めを目的としています。その結果、多くの場合において安定ではなく、より深刻な危機と恒常的な情勢不安が発生しています。
ベネズエラ
南米ベネズエラにおいて、同国ニコラス・マドゥロ政権に対する米国の圧力行使は、麻薬密輸や汚職との闘いといった主張によって正当化されていましたが、実際には、アメリカのベネズエラ介入の主要な動機は同国の豊富な石油埋蔵資源にありました。マドゥロ大統領夫妻の逮捕につながった秘密作戦は事実上、ベネズエラの石油産業に対する米国の直接的な影響力行使のための下地を作り、またエネルギーをめぐる競争が依然として南米における米国の外交政策の軸となっていることを示した格好となっています。
イラク
アメリカの公言した目的と実際の目的の乖離を如実に表す例として、2003年の米国によるイラク侵攻が挙げられます。結局、イラクが大量破壊兵器を保有していたという主張は証明されず、戦争の結果は極めて明白でした。この軍事作戦は2700億ドル以上の費用がかかり、イラクの石油輸出は約50%減少しました。戦争中および戦争後の混乱で、25万人以上が命を落とし、イラクの重要なインフラは深刻な被害を受けました。最終的に、この戦争による権力の空白と政治的混乱は、「持続可能な民主主義」の創出ではなく、逆にテロ組織ISISの台頭へのお膳立てをするという、皮肉な結果をまねきました。
アフガニスタン
2001年9月11日の米同時多発テロ事件後、米国はテロ対策を名目にアフガニスタンに侵攻しました。この戦争では23万人以上が死亡し、軍事作戦と復興に2110億ドル以上が費やされました。この消耗戦の挙句、米軍は2021年8月30日、完全撤退に至りました。アフガン中央政権の急速な崩壊により、この撤退は米国の対外介入史上最も混乱した事態の一つとなっています。この撤退からわずか数日後、現支配勢力のタリバンが再び首都カーブルで政権を掌握し、20年にわたる米軍駐留の成果を事実上全て破壊しました。
ベトナム
アメリカの介入主義の歴史における最も重大な失敗の1つは、1954年から1975年まで続いたベトナム戦争です。南ベトナムに50万人以上の兵士が駐留していたにもかかわらず、ベトコン(南ベトナム解放民族戦線)とその支援勢力の勝利を阻止することはできませんでした。この戦争は、アメリカに多大な人的・経済的損失を引き起こしたと共に、超大国としてのアメリカというイメージを初めて大きく毀損し、国内外でホワイトハウスの政策に対する国民の信頼の低下をまねきました。
リビア、シリア、イエメン
北アフリカ・リビアでは、2011年に人権擁護のスローガンの下、NATO北大西洋条約機構と米国による介入が開始されましたが、その結果、リビアの政府機構は崩壊し、石油輸出は70%減少しました。結局、リビアは安定ではなく、外国勢力間の競争とテロの蔓延の場と化しました。
シリアでは2013年以降、米国が一部テロ組織を陰に陽に支援してきました。このため、シリアは事実上、地域および世界の大国にとっての地政学的な舞台と化しました。この介入の結果、広範囲にわたるインフラの破壊、500万人以上の難民化、そしてイスラム国を自称するテロ組織ISISの台頭をまねきました。
またイエメンは、2015年以来の米国によるアラブ連合軍への支援により、世界で最も深刻な人道危機の一つに陥っています。イエメンでは戦争中、サービスインフラの約90%が破壊され、失業率と貧困率が急上昇しました。
結論
これらの事例を検証すると、米国の軍事介入主義は、世界の安全保障に貢献したのではなく、逆に情勢不安の再現、インフラ破壊、そして暴力の蔓延を招いていることが分かります。アメリカの真の目的は、エネルギー資源や戦略的ルートの支配、そして地政学的なライバルの封じ込めにあると定義されることが多くなっていますが、これらの介入は、標的となった国々に経済、社会、そして政治面で極めて深刻な影響を及ぼしてきました。
ベトナム、イラク、アフガニスタン、そしてその他の紛争地域における経験は、アメリカの介入主義政策が当初の目標を達成できなかったのみならず、さらに深刻な危機および、地域の安定に対する脅威をもたらしてきたことを示しています。これらの政策の見直しは今や、世界にとって、そしてアメリカ合衆国自身にとっても、これまで以上に必要とされているのです。

