チャタムハウスがトランプ氏に警告;「米国はインド洋の単なる借地人であることを肝に銘じよ!」
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チャタムハウスがトランプ氏に警告;「米国はインド洋の単なる借地人であることを肝に銘じよ!」
英王立国際問題研究所(チャタムハウス)がトランプ大統領の「ドンロー主義(Don-roe Doctrine」(19世紀の『モンロー主義』をもじって、トランプ氏の名前・ドナルドとモンローを掛け合わせた呼称)」を調査し、大国間の競争がデンマーク自治領グリーンランドからインド洋・チャゴス諸島にまで広がっていることを示しています。
【ParsToday国際】チャタムハウスは今月21日の報告書でインド洋におけるトランプ大統領の「ドンロー主義」を検証し、「トランプ大統領は、北大西洋と北極圏における中国とロシアの侵略的進出への懸念を理由に、アメリカによるグリーンランド支配を正当化してきた。しかし今や、この主張はインド洋とチャゴス諸島の領有権にまで及んでいる」としました。
BRICS演習とインド洋の隘路における権力闘争の始まり
チャタムハウスはこの分析報告において、トランプ大統領が北極海とグリーンランドから南極海およびインド洋へとかじ取り変更した理由の一つとして、この地域におけるBRICS諸国の合同演習を挙げ、「先週、ロシア、中国、その他がインド洋の南アフリカ沖で合同海軍演習を実施した。一部の評論家がこの演習をBRICSプラス演習と評している一方で、実際には隘路・ボトルネックにおける権力闘争だった」と述べています。
勢力圏の再定義:極地航路から従来の海路まで
この報告書では、従来の海路の優位性と新たな海路に対する主権に焦点を当てて分析しています。言い換えれば、アメリカが北から南へ、西から東へと展開する新たな戦争は、「新たな勢力圏」を定義し、「従来の勢力圏」を再定義していると言えます。新たな勢力圏とは「極地航路」を指し、「地球温暖化と北極海の海氷減少」に伴い、北極海に新たな航路(ロシア沿岸を走る北極海航路やカナダの北西航路など)が出現しつつあります。これらの航路は、理論的にはアジア、ヨーロッパ、北米間の輸送時間とコストを削減し、将来的に「高い地政学的重要性」を帯びる可能性があります。そのため、米国、ロシア、中国といった大国は、これらの航路を将来の世界秩序における潜在的な勢力圏と見なしているのです。
トランプ氏のグリーンランド併合意欲は、この地政学的ビジョンを象徴しています。グリーンランドは北極圏に位置することから、米国に極地航路、天然資源、そしてロシアや中国との競争に対する「アクセス、支配、そして戦略的影響力」を与える可能性があります。しかし、この分析はその一方で、これらの極地航路が技術的、経済的、そして気候的にまだ十分に開発されておらず、主要な世界貿易ルートに取って代わるには至っていないことを強調しています。
ディエゴガルシア島:インド洋における米軍駐留の重心
しかし、トランプ大統領が突然南下しインド洋へと舵を切ったのは、世界の貿易ルートに影響を与えるためだけではありません。チャゴス諸島最大のディエゴガルシア島の基地が存在する最も重要な理由は、インド洋における唯一の米軍常設基地であることです。バブ・エル・マンデブ海峡とマラッカ海峡から等距離に位置しているため、米国はペルシャ湾岸諸国の領土に依存せずに、地域全体に戦力を投入できるのです。
チャタムハウスの分析では「2024年、米国はこの基地から2機のB-52爆撃機をインド太平洋全域に配備し、イエメン、イラン、さらには中国を標的とした抑止力を発揮する可能性があった」とされています。インド洋地域は、アフリカ東海岸から西アジア、南アジア、東南アジア、そしてオーストラリアに至るまで、33カ国・29億人の人々が暮らす地域であり、その中心に位置するのがチャゴス諸島です。トランプ大統領にとって、西半球を守るには、グリーンランドやチャゴス諸島といった半球外の拠点を支配する必要があるかもしれません。
チャゴス諸島と西部戦線における新たな分裂
さらにチャタムハウスは、この地域に対する主権を植民地時代の遺物として想起し、次のように分析しています。
「英国政府は2024年、ディエゴガルシア島における米英合同軍事基地の運用継続と引き換えに、チャゴス諸島の主権を東アフリカ・モーリシャスに移譲することに合意した。しかし、英国議会はチャゴス諸島に関する合意に反対している。それは、英国の支配がなければ、中国がモーリシャスに二重の通商拠点を築き、西側諸国の安全保障上の利益を脅かしうることを懸念しているからである」
チャタムハウスは、トランプ氏を脅迫するような論調で「双方が勝者となるアプローチをトランプ氏が受け入れるか否かに関わらず、チャゴス諸島の主権移譲はアメリカの意向に左右されない」と結論付けるとともに、ディエゴガルシア島ではアメリカが所詮は借地人に過ぎないことを改めて強調しています。その借地契約は、2036年に満了することから、アメリカの政策立案者は、チャゴス諸島の未来がイギリスに秘められていることを忘れてはならないのです。

