日本人専門家:「米とイスラエルは、法律を騙されやすい敗者のためのものと見なす」
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元OHCHR国連人権弁務官事務所パレスチナ副代表を歴任した高橋宗瑠(Saul J. Takahashi)氏
ある日本人専門家が「アメリカとシオニスト政権イスラエルは、武力行使を禁じる国際体制の法規範を破壊しようとしている」と語りました。
【Pars Today国際】日本の人権専門弁護士・大学教授で、元OHCHR国連人権弁務官事務所パレスチナ副代表を歴任した高橋宗瑠(Saul J. Takahashi)氏は ParsTodayの独占インタビューにおいて、米国とイスラエルによるイラン攻撃について、「これらの攻撃は軍事侵略であるのみならず、第2次世界大戦後の国際法秩序の深刻な崩壊及び国連体制の弱体化を示す兆候でもある」と述べています。
高橋氏とのインタビューの全文は以下の通りです;
ParsToday(以下P);
米・イスラエルの対イラン合同軍事作戦の規模と性質は、国連憲章第2条第4項の構造的崩壊をどの程度示していると思われるか?我々は「武力行使の禁止」から、「先制防衛」が各国政府の不安定化に向けたいわば白紙小切手となる時代への恒久的な移行を目のあたりにしているのか?
高橋氏(以下T);
我々が目の当たりにしているのは、主に米国とイスラエルの手による国際秩序の完全な崩壊である。これらの政権は、強者が手段を選ばず、弱者は苦しむしかない「弱肉強食」の世界への回帰を望んでいる。国際秩序の破壊を狙ったこの動きの中核にあるのは、武力行使に対するあらゆる制約の撤廃である。米国とイスラエルは、自分たちが思惑とする国を攻撃し、その過程でジェノサイドを含むあらゆる国際犯罪を引き起こす権利があると信じこんでいる。
P;2026年3月4日には、非武装で外交訓練任務(ミラノ演習)から帰還途中だったとされるイランの船舶「IRISデナー」が米軍によって撃沈されている。現在の海上封鎖と民間船舶への攻撃は、既存の海洋法および国際法では調整できない経済的圧力と軍事力の融合を示していると言えるだろうか?
T;国際法上、民間船舶への攻撃は戦争犯罪であることは言うまでもない。問題は、現在の国際体制には法の実施が存在しないことである。つまり、米国やイスラエルのような強力な軍事勢力が弱小国を攻撃しても、それを阻止する実質的な仕組みがない。唯一の機関は国連安全保障理事会だが、そこは明らかに米英仏中ロという常任理事国5カ国の影響下に置かれている。
P;今回の紛争における戦争犯罪の可能性を示す膨大な証拠資料が存在するにもかかわらず、これらの行為を訴追するための系統だった国際的メカニズムは、明らかに皆無である。ICC国際刑事裁判所をはじめとする諸機関の沈黙は、特に被告が西側諸国の政治的覇権の傘下にある場合、国際法の執行能力について何を物語っていると言えるか?
T;繰り返すが、このダブルスタンダード・二重基準には驚きを禁じ得ない。イランはICC加盟国ではないが、攻撃開始当初から同裁判所の管轄権を認める旨の宣言を裁判所に行うことができ、またそうすべきだと私は考える。しかし、たとえ裁判所が逮捕状を発行したとしても、既に述べたように、それを執行する仕組みがない。国連安保理は依然として執行措置を強制できる唯一の機関だが、この組織には全くその権限・権威が欠如している。その証拠に、安保理はパレスチナ・ガザ地区で何ら行動を起こさず、2025年11月にはトランプ氏のガザ地区植民地化・搾取計画を支持するよう迫られた。イランに対する明らかに違法な戦争に関しては、安保理はホルモズ海峡でのイランの行動を非難するにとどまり、米国とイスラエルの侵略行為については沈黙を決め込んでいる。このような偽善ぶりでは、安保理、ひいては国連そのものも、もはや存続不可能と言わざるを得ない。
P;直接的な軍事攻撃以外にも、国際法はイランの電力網、水道システム、通信網といった民間インフラへの累積的な被害をどのように査定すべきと思われるか?インフラ崩壊による長期的な民間人被害が攻撃による即時被害を上回る「反射的影響」に対処できる法的枠組みは整っていると言えるだろうか?
T;米国とイスラエルは侵略者である。従ってこの2者は全責任を負うべきであり、イランには賠償を要求する権利がある。またガザは、国際社会が「人道的大惨事」という論理の罠に陥っていることを示す明白な例である。この論理は、善意の援助国が復興費用を負担することを期待するものだ。イスラエルが大規模な破壊行為に出たのに、なぜか他国がその費用を負担しなければならないのか?これはガザ、レバノン、イラン、あるいは世界のどこであれ、到底受け入れられないものである。
P;イラン南部ホルモズガーン州ミーナーブ郡の学校が授業時間中に攻撃された事件は、戦争中最も多くの民間人犠牲者を出した事件の1つであり、恐るべき多くの数の児童が犠牲となった。機能している教育施設への攻撃は、国際人道法においてどう位置づけられるのか?AI人工知能に基づく「精密」兵器の時代において、「巻き添え被害」や「標的の誤り」は、このような大量殺傷事件に対する正当な法的弁護となり得るか?
T;授業時間中の学校を攻撃することは、明白な戦争犯罪に他ならない。確かに、学校が軍に占領されたという証拠は一切なく、アメリカ側でさえそのような主張はしていない。しかし、もっと重要なのは、アメリカとイスラエルが今、戦争法を意図的に無視していることである。彼らの考え方は、「やりたいことは何でもやる。法律は騙されやすい者や敗者のためのものだ」という概念だ。アメリカは自らの行動を正当化する必要すら感じていない、と私は考える。
