アメリカ国務長官による選挙戦混乱への非難
アメリカのケリー国務長官が、アメリカの選挙戦での混乱を非難しました。
アボルファトフ解説員
ケリー長官はイギリス・ロンドンでの青少年との会合で、アメリカの大統領選挙の討論を恥ずべきものだとし、「この討論は外国の首脳との民主主義に関する話し合いを困難にしている」としました。さらに、「アメリカの国務長官が他の国の外務大臣、また大統領や首相に対して、民主主義の道に向かって力強く歩みを進めることを求めるとき、彼らの頭の中にアメリカの民主主義に関してどのような考えがよぎるのかを知ることができる」としました。
ケリー長官の表明は、彼が2004年の大統領選挙で、民主党候補として最終段階まで進んだ点から重要性を有しています。とはいえ、アメリカの国内外で、長期的で複雑かつ莫大な費用をかけた選挙の流れに対する真剣な批判が存在します。政党内での指名争い、そして最終的なアメリカ大統領選挙の中で、大統領候補の一部など、アメリカの政治家の多くがこの問題を指摘しています。
アメリカの選挙制度に対する最大の非難の一つは、大統領選挙における人々の役割の低下です。実際、538人がアメリカ国民の代表として大統領を選出します。この方法では、人々の過半数の票を獲得した多くの候補者が、必要定数に満たないという理由で、アメリカの大統領になることができないのです。こうした出来事は2000年の選挙で起こり、ブッシュ氏がゴア氏に勝利しました。アメリカでは有権者の過半数の票を獲得していない候補者が大統領に選出される可能性があるのです。
もう一つの批判は、民主党と共和党の二大政党が大統領選挙を独占していることです。過去150年、アメリカでは数十の政党が存在し、活動していましたが、アメリカの大統領は、民主党と共和党に二分されています。こうした状況が続いていることには、政党への政府の支援金の問題など、多くの理由が挙げられています。
他方で、アメリカの選挙における資金の決定的な役割も、非難の対象となっています。選挙には莫大な費用がかかることから、候補者の多くは大企業の経営者や富裕層となっています。このため、アメリカは自らの政治的な理念から離れ、少数独裁政治に変わっています。この体制は人々に対する人々のための政府ではなく、人々に対する富裕層の政府になっています。
アメリカの選挙制度への批判に加えて、今年の大統領選挙戦では、候補者への道徳的な非難が生じています。トランプ氏の女性蔑視発言や、クリントン氏の私用メール問題は、アメリカの政治家の面子をつぶしています。アメリカの国務長官までもが、こうした問題を恥ずべきことだと表明しています。