西側の思想家が考える預言者ムハンマド(17)
(last modified Sun, 06 Nov 2016 09:20:24 GMT )
11月 06, 2016 18:20 Asia/Tokyo
  • ギュスターブ・ル・ボン
    ギュスターブ・ル・ボン

イスラムの預言者ムハンマドの特徴のひとつは、そのすぐれた性格にありました。

神は預言者のそのような特徴を賞賛し、次のように語っています。「あなたは優れた偉大な性質を持っている」

預言者ムハンマド自身も次のように語っています。「私は道徳的な偉大さを復活させるために預言者として遣わされた」

預言者ムハンマドは、その教えの中で、道徳を強く勧め、このように語りました。「神は偉大であり、道徳的な価値観や尊厳を愛され、醜く卑しい行動を嫌われる」 また別の場所でも、次のように語っています。「あなた方の中で私の最良の友人とは、人々と最も親しくする人物である」

フランスの優れた中東学者、ギュスターブ・ル・ボンは、これについて、「イスラムの預言者の生涯と彼の道徳的特徴」の中で次のように記しています。

「預言者の知性と理性は全ての人に優り、その考えにおいても誰よりも優れていた。無意味な言葉を発することはなく、常に、神の名を唱えていた。人々には常に優しく接し、多くの場合、静かに座っていた。彼は穏やかで好ましい気質を有していた。いかなるときも、貧しい人間を蔑んだまなざしで見たりはしなかった。力のある人間に媚びることもなかった。アラブの歴史家によれば、預言者ムハンマドは、非常につつましく、よく考える人間であり、口数は少なく、常に先のことを考えていた。また、心が清らかで行動においては礼儀正しさを忘れなかった。彼は富や権力を手にしたあとでさえ、自分のすべきことを他人に委ねることはなかった。ムハンマドは高潔であり、非常に柔和な態度で人々に接していた。彼の召使いの一人は、18年間、預言者に仕えていたが、この間、彼の口から粗野な言葉を聞いたり、懲罰を与えるときでさえ、荒々しい態度を取ることはなかった」

神の預言者たちは、それぞれの時代のニーズに応じて奇跡を伴っていました。聖典コーランは、ムーサーやイーサーなどの過去の預言者たちのたくさんの奇跡に触れています。ギュスターブ・ル・ボンは、著書の中で、コーランは最も雄弁な書物だとしています。ギュスターブ・ル・ボンは、コーランの均整の取れた心地よい節は、他の啓典の中でも類を見ないものだとしています。

あらゆる国民の力や壮麗さは、その人々の連帯と団結にかかっています。イスラムの預言者ムハンマドのような偉大な人物が、イスラム共同体の中心に立ったときから、統一という言葉が世界中に響きました。ギュスターブ・ル・ボンは、イスラム共同体の統一を、預言者ムハンマドの最大の奇跡だとし、次のように記しています。「預言者の大きな奇跡は、生前にアラブの部族を集め、この粗野な集団から統一の取れた共同体を作ったことにある。こうして全ての人がひとつの宗教の前に頭をたれ、一人の指導者に従うことになった。このことは、預言者の人格の偉大さを物語っている」