西側の思想家が考える預言者ムハンマド(22)
イギリスの著作家、マーティン・リングスの著書、「ムハンマド:初期文献に基づくその人生」は、1983年に初版が発行され、これまでに少なくとも6回増刷されています。
「ムハンマド:初期文献に基づくその人生」の第一章は、唯一神の信仰者であった預言者一門に触れています。リングスは次のように記しています。
「イブラヒームには子供がなく、子供を持てるとも思っていなかったが、ある夜、神からテントの外に呼ばれ、こう言われた。『今、空を見て星を数えなさい。もし数えることができるのならば』 それからイブラヒームが星を見つめていると、再びその声が聞こえた。『あなたの子孫もこのように無数のものになるだろう』」
マーティン・リングスは、最初はプロテスタントの信者でした。彼は20歳のころ、西側の多くの若者と同じように、キリスト教への信仰心を失いましたが、真理を探究することをやめませんでした。25歳のとき、世界の宗教について研究し、その中からイスラムを選び、アブーバクル・セラージョッディーンというイスラム名を選びました。
リングスは、フランスの思想家、ルネ・ゲノンの記述を読んだとき、啓示宗教は真理であり、人間の完成と神との面会につながる道を示すことができることを悟りました。リングスは次のように語っています。「ゲノンの作品を研究することにより、私は西洋文明の過ちに気づいた。それは啓示宗教の内面的な要素が真理であることを示しており、それらをもたらした預言者たちは、さまざまな形でその真理について語っている」
リングスはこのように記しています。「ゲノンの見解が私の心に閃光のように走り、真理を見出したことを悟った。私は何かをしなければならなかった」
リングスはイスラムの預言者ムハンマドを神の使徒として紹介する際、彼の出現に関する予言に触れ、修道士のボヘイラーの物語を挙げています。
「ボヘイラーは、預言者のしるしをムハンマドの中に見たとき、アブーターリブにこのように言った。『あなたの甥である彼を祖国に返し、彼をユダヤ教徒の手から守りなさい。神に誓って、もし私が彼について知っていることをユダヤ教徒も知れば、彼に策略を仕掛けるだろう。あなたの甥には数々の大きな出来事が起こるだろう』」