アメリカの入国制限の大統領令、過激派への最大の贈り物
(last modified Wed, 28 Jun 2017 08:47:44 GMT )
6月 28, 2017 17:47 Asia/Tokyo
  • アメリカの入国制限の大統領令、過激派への最大の贈り物

アメリカのトランプ大統領による入国制限の大統領令の執行停止を巡り、連邦最高裁判所は政権側の申し立てを部分的に認めました。イランのザリーフ外務大臣は、この最高裁の決定に遺憾の意を示しました。

ザリーフ外相は、27日火曜、ドイツのベルリンで、ガブリエル外務大臣と共同記者会見を行い、「トランプ大統領が就任直後に決定したイスラム教徒に対する制限は、実際、何の根拠もないものであり、テロとの戦いの助けにはならない」と語りました。

アメリカ連邦最高裁は、26日月曜、イラン、シリア、イエメン、ソマリア、リビア、スーダンの6カ国の出身者のアメリカ入国を制限する大統領令の部分的な執行を認めました。トランプ大統領は今年の1月から3月まで、テロとの戦いを主張し、イスラム圏6カ国のアメリカ入国を禁止する大統領令を発令しました。これは世界規模での抗議を招き、多くの要人や国際機関、一般の人々が、ソーシャルメディアでこの決定を人道に反する人種差別だとしました。

ニューヨーク州のシュナイダーマン司法長官は、このトランプ大統領の決定に対し、「トランプ大統領の危険な指示や差別の犠牲になった人々を支援するために力を尽くす」と語りました。

アメリカの歴史の中で、これまでに歴代の45人の大統領によって、さまざまな問題に関する幾千もの大統領令が署名されてきました。18世紀から19世紀の大統領による大統領令は少ないものの、アメリカ社会が広がり、20世紀に移民の数が増加すると、大統領令の数も増加し、ルーズベルト大統領は、3522もの大統領令を執行しました。第二次世界大戦後の大統領は、4年から8年の任期の中で、数百の大統領令を執行しています。大統領令の中で最も重要なもののひとつは、1863年の奴隷制の廃止でしょう。

大統領令の中には執行されないものもあり、トランプ大統領の大統領令は、ニューヨーク連邦裁判所への提訴によって一度失敗に終わっています。イギリスの新聞、デイリーテレグラフは、昨年、トランプ大統領が火をつけた文明の戦争は、テロリストの利益になるだけだとする記事の中で、次のように伝えました。

「20年前から暴力的なアプローチを取ってきたアルカイダのような国際的なテロ組織は、誕生以来、西側世界に常に損害を与えることを目的にしてきた」

これについて、アメリカCIAのパネッタ元長官は、「我々はこの措置によって、西側は過激派ではなく、イスラムと戦っているというメッセージをISISに伝える」と語りました。

これらの事実、そしてこのような騒動の裏に隠された目的に注目し、イラン外務省のガーセミー報道官は、「アメリカ政府は、短絡的な見方により、アメリカでのテロの真の元凶に対して目を瞑り、公然と間違った住所を示している」と語りました。

間違った住所とは、アメリカがイランやその他の国に非難の矛先を向けていることです。しかし、イラン国民をはじめ、そしてシリア、イラク、イエメン、アフガニスタン、パキスタンの人々は、アメリカやその他の国が支持するテロの犠牲者になっています。イラン国民は、これまで何度も、アメリカが支援するテロの犠牲になってきました。6月28日は、イランの体制責任者数人が、テロ組織モナーフェギンの爆弾テロの標的になった事件を思い起こさせる日です。アメリカは、この組織をテロ組織のリストから削除しており、今も自らの支援下においています。言い換えれば、テロの真の脅威は、現在、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアからのものであり、これらの国は、地域や世界のテロの発祥地となっています。こうした中、トランプ大統領のリストに記された国々の中に、サウジアラビアやシオニスト政権イスラエルの名前はありません。これらの政権はアメリカのテロが疑われるリストには入っていません。これはアメリカのテロとの戦いの皮肉のひとつだと言えるでしょう。