アメリカのポンペオ氏の新国務長官指名
(last modified Wed, 14 Mar 2018 11:18:28 GMT )
3月 14, 2018 20:18 Asia/Tokyo
  • トランプ大統領とポンペオ氏
    トランプ大統領とポンペオ氏

アメリカのポンペオCIA長官が、トランプ大統領から次期国務長官に指名されたことを受け、アメリカの外交政策に対して数多くの疑問が投げかけられています。

アメリカ上院で、トランプ大統領の指名が承認された場合、アメリカの外交機関は、1年間、CIAの長官を務めた人物の手に委ねられることになります。CIAは、世界最大の諜報機関であり、その長官は、世界各地におけるアメリカの妨害や諜報・情報活動を管轄しています。このような人物が、アメリカの外交的な目的を推進する機関のトップに立ったことは、アメリカの外交政策の安全保障化という見方を強めています。特に、トランプ大統領は、今回のティラーソン国務長官の突然の解任の決定について、「ポンペオ氏とは同じ見解を有している」と語っています。

ティラーソン氏の解任により、今度はポンペオ氏が、アメリカの外交を安全保障上の条件に沿って進める番です。この1年、ポンペオ氏は、CIA長官として、北朝鮮に対するトランプ大統領の強硬な立場を何度も支持してきました。また、ティラーソン氏とは異なり、北朝鮮に対する最大限の圧力の継続を支持してきました。このことから、ポンペオ氏が国務長官に就任すれば、アメリカの北朝鮮に対する圧力が強まることになると予想されています。こうした中、トランプ大統領は、北朝鮮の指導者との会談の提案を歓迎しており、この2つの矛盾する考え方を結びつけることが、ポンペオ氏が国務長官に就任した場合の問題のひとつになるでしょう。

こうした中、ポンペオ氏も、トランプ大統領と同じようにイランとの核合意に反対しています。トランプ大統領は、ティラーソン氏との対立の理由のひとつに、イランの核合意を挙げています。5月のはじめに、対イラン制裁の停止の延長について決定する期限がやってくることから、アメリカの次期国務長官は、アメリカの核合意の残留や離脱において、重要な役割を果たすことになるでしょう。

 

ティラーソン氏

 

この1年、CIAをはじめとするアメリカの情報機関は、イランとの核合意が適切であることを強調してきました。アメリカの情報機関は、この合意の維持は、アメリカの安全保障に沿ったものだと考えています。こうした中、ポンペオ氏のこの1年の核合意に関する発言は、彼が、自身がトップを担う機関の専門的な意見に注目する以上に、トランプ大統領の要求や見解に従っていることを示しています。また、トランプ大統領の行動も、大統領として、最小の反対すらも許さないということを示しています。

こうしたことから、ポンペオ氏の指名により、アメリカの国務省は、これまで以上に、トランプ大統領の予想できない個人的な見解の影響を受けることになると見られています。このことは、国際体制におけるアメリカの地位や役割にも、マイナスの影響を及ぼす可能性があるのです。