中央アジア貿易の玄関口イラン;南東部チャーバハールからユーラシアへ
(last modified Sat, 31 May 2025 08:01:00 GMT )
May 31, 2025 17:01 Asia/Tokyo
  • イラン南東部チャーバハール港湾
    イラン南東部チャーバハール港湾

イランは、同国南東部チャーバハールという戦略的な立地条件にある港湾および、広範な輸送ネットワークを活用して中央アジア諸国の重要なパートナーとなり、同地域との貿易・物流関係を強化しています。

米ワシントンDCを拠点としインド太平洋地域の国際関係、安全保障、経済、政治分野の専門情報源である雑誌「ディプロマット」は記事の中で「ペゼシュヤーアン大統領率いるイランは、中央アジアにおける政策を明確に強化している」と報じています。

【ParsTodayイラン国際】同紙の記事はさらに「イランの広範な道路・鉄道網、そしてインド洋に面した重要な港湾は、中央アジアの内陸諸国との協力において戦略的利点を提供している」としています。

この報道によりますと、イランの地域協力・交流の主な焦点は貿易関係と輸送物流インフラの発展にあり、これはイランの「ルック・イースト(アジア重視)」戦略と一致するものです。

中央アジア諸国もまた、新たな消費市場と世界の主要経済圏へのより効率的な接続ルートを模索しており、イランはこの2つの強みを兼ね備えています。つまり、イランは中央アジア諸国にとって貴重な地域パートナーとなっている他、エンジニアリング、エネルギー、農業、化学産業、医薬品の分野における科学技術力を有し、共同生産のための投資インフラも備えているのです。

イラン南東部スィ―スターンバルーチェスターン州にあるチャーバハール港湾は、中央アジアの内陸諸国にとってインド洋に出るための玄関口となっています。

イランに広範な道路・鉄道網と南部の主要港が存在することから、中央アジア諸国は世界市場へのアクセスが可能になりました。また、中国・カザフスタン・ウズベキスタン・トルクメニスタン・イラン・トルコといった鉄道回廊と複合輸送ルートにより、イランは東西を結ぶユーラシア大陸の地上橋へと変貌しています。

2023年、イランはウズベキスタン政府の要請に応じ、同国の「チャーバハール協定」への参加を承認しました。ウズベキスタンは同港における専用の倉庫とターミナルの建設を計画しています。さらに、カザフスタンとタジキスタンも同様のアプローチを検討しています。

また、イランの道路・港湾インフラを経由して中央アジアからインドへの輸送回廊を立ち上げる交渉も進行中であり、こうした動向は中央アジア諸国の地政学的利益に合致するものです。

イランと中央アジアとの二者間貿易は依然として約15億ドル規模ではあるものの拡大傾向にあり、対ウズベキスタン貿易を20億ドルに、対トルクメニスタン貿易は30%増加させるといった目標が設定されています。2025年5月から発効するEAEUユーラシア経済連合との自由貿易協定では関税が引き下げられ、イランの貿易にとって新たな機会がもたらされています。

さらに、インドの港からイラン南部バンダル・アッバース港およびチャーバハール港を経由した、ウズベキスタンとカザフスタンへのコンテナ貨物の輸送、そしてカザフスタンによるイラン南部シャヒード・ラジャイー港での専用ターミナル建設計画は、イランが地域輸送に益々大きな役割を果たしていることを示唆しています。これらの動向に加え、イランと中国との341億ドルの非石油貿易と相まって、イランは地域物流・貿易ハブ拠点としての地位を確固たるものにしているのです。

 

 


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