アメリカと北朝鮮の首脳会談に対する核合意離脱の影響
ついに、アメリカと北朝鮮の首脳会談が、シンガポールで行われました。
アメリカのトランプ大統領と北朝鮮のキムジョンウン朝鮮労働党委員長の会談は、歴史的な会談とされています。はじめトランプ大統領とキム委員長のみで、その後、両国の代表団により行われたこの会談の後、トランプ大統領はキム委員長との会談は良い形で進展したと主張しました。また、北朝鮮の核問題に関して、双方は互いにこれに関する協力と努力を行っていくと語りました。
現在、この協議の結果について、北朝鮮側からの反応は発表されていませんが、こうした中、互いの要求を知るために行われたこの会談が、現状において結論に至るとは考えにくいでしょう。トランプ大統領の核合意離脱と、G7の首脳会合において明らかになったほかの加盟国との深刻な対立から、北朝鮮はアメリカとトランプ大統領、そして彼の言葉をほとんど信じていません。アメリカのアナリスト、ディマジオ氏は次のように語っています。
「北朝鮮の関係者と非公式で行った会談では、彼らは常に核合意の問題を指摘していた」
実際、核合意の離脱は、トランプ政権と北朝鮮の協議に影響を及ぼしています。アメリカ民主党の政治家は、トランプ大統領のイランと核合意に対する行動により、トランプ大統領は、北朝鮮との合意を締結する上で制限を受けていると語っています。アメリカ上院外交委員会のベン・カルダン議員は、次のように語りました。
「トランプ大統領の核合意離脱は、アメリカの信用に影響を及ぼしている」
アメリカのメディアは、アメリカの要求について、アメリカと北朝鮮の協議で優先事項とされているのは、北朝鮮の核兵器の廃棄だとしています。こうした中、アメリカのポンペオ国務長官は、「トランプ政権が北朝鮮に関する目的を達成するまでには、大変長い道のりを要する」と強調しました。ポンペオ長官の見解から、アメリカが北朝鮮に関して思惑としているのは、北朝鮮のキムジョンウン指導体制の戦略的な変化と見られます。
こうした中、少なくとも、北朝鮮が現在とっている行動とは、核・ミサイル問題に関する話し合いと、その代償としてアメリカと韓国から大きな利益を得ることです。基本的に、北朝鮮は自国のミサイルがアメリカ全土を射程範囲に入れたと表明した後、アメリカとの話し合いを提案しました。専門家によれば、これはキム委員長が核とミサイルのカードを手にいれて強い立場を獲得し、利権を得るために、朝鮮半島に干渉的な外国勢力であるトランプ大統領との協議に入ったということを示しています。キム委員長との会談後におけるトランプ大統領のプロパガンダにもかかわらず、北朝鮮は核合意の経験から、段階的な形で一部の核・ミサイル能力を手放す代わりの利権を得ながら、決してその切り札を完全に手放すことはないでしょう。