3月 24, 2016 22:20 Asia/Tokyo
  • アメリカ国務長官のロシア訪問

アメリカのケリー国務長官が、23日水曜、シリアとウクライナの問題に関してロシアの政府関係者と会談するため、モスクワ入りしました。ケリー国務長官は、この訪問で、ロシアのラブロフ外務大臣、プーチン大統領と、シリアの停戦とウクライナ情勢に関して話し合う予定です。

ミールターヘル解説員

ロシア外務省は、21日月曜、声明の中で、アメリカ国務長官の2日間に渡るロシア訪問は両国の関係正常化を促すものだとしました。

アメリカ国務長官の訪問は、現状において、シリア問題の解決に関して特に重要性を有しています。シリアの停戦実施に向けたアメリカとロシアの合意後、数週間が経過していますが、現在、シリア問題の政治的解決を目指すジュネーブ協議の真剣な継続に向けた下地が、国連安保理決議2254の枠内で整えられています。こうした中、西側やそのアラブの同盟国、トルコの支援を受けているテログループによる停戦違反が行われています。この問題により、ロシアはアメリカに警告を発し、「アメリカはシリアの停戦の違反者への対応の調整を控えれば、ロシアは停戦違反に関して独自に行動する」としています。これに対してアメリカ国務省も、「ロシアとアメリカは停戦の監視に向け建設的な協力を開始し、ロシアに対して停戦違反に関して一方的な措置をとらないよう警告を発した」と表明しました。この流れは最近、シリア問題に関して起こったもので、プーチン大統領はシリアからロシア軍の強力な部隊を撤退させるよう指示しました。これはロシアとアメリカの合意の枠内で行われているようです。このロシアの措置は、ジュネーブ協議に新たな息吹を吹き込み、シリア問題の終結に関して、西側とその同盟国から口実を奪うものと見なされます。現在、ボールはアメリカ側にあり、彼らは武装グループや同盟国に圧力をかけることで、停戦継続の一方で、シリア問題の政治的解決に向け、ジュネーブ協議を真剣に行う下地を整えようとしています。

この他、アメリカ国務長官のロシアでの協議の議題はウクライナ情勢であり、ウクライナは2年前から、情勢不安となっており、これまで同様、ウクライナ東部は、新ロシアと政府軍の間で断続的な停戦状態となっています。ケリー国務長官はこの訪問で、ロシアの政府関係者に対し、ウクライナ東部での新ロシア派の停戦の遵守を求めるでしょう。ケリー長官はロシアの高官との会談で、22日火曜に22年の禁固刑に処されたウクライナ人パイロットの問題を提示すると見られています。アメリカはこのパイロットに対する容疑を根拠のないものだとしています。これに対して、ロシア当局は再度、ウクライナの西側寄りの政府に対するアメリカの全面的な支持の継続を非難すると見られています。ロシアは、この支援は、ウクライナ政府がウクライナ東部の問題に対して妥協しない姿勢をとる原因になっていると見ています。とくに現在NATO北大西洋条約機構とアメリカのウクライナへの支援とウクライナ軍の訓練、また合同軍事演習の実施といった相互の関係は、ウクライナと西側の防衛・軍事関係をさらに近づけるための下地を整えています。さらにEUは2016年1月1日から、ウクライナのEU加盟に関する2014年の合意の一部である自由貿易協定の実施により、ウクライナとEUの経済・政治関係の緊密化の基盤を築いており、これ自体、ウクライナが経済や貿易の分野で、ロシアからできるだけ離れるための歩みと見なされています。

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