視点;物別れに終わったスペイン・マドリードでのCOP25会議
(last modified Mon, 16 Dec 2019 14:05:31 GMT )
12月 16, 2019 23:05 Asia/Tokyo
  • COP25会議
    COP25会議

スペインの首都マドリードで開催された第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)は14日土曜、地球温暖化への対策とその損害に対する費用分担をめぐり、参加国による合意が事実上成立しないまま終了しました。

マドリードでの地球温暖化対策に関する、2週間に及ぶマラソン協議の末、200カ国の代表団は温暖化ガスの削減および、気候変動の影響に苦しむ途上国への支援に向けたより強い決意を求めることを発表していますが、それでも合意に至ることはできませんでした。

今回のマドリードでの協議は、温暖化ガス排出量の取引といった技術的な問題に絞られました。排出量取引とは、温暖化ガスの排出量削減に成功している国がそうでない国に排出権を売るという、世界的な排出量取引制度を意味します。こうした中、今回の会議ではこの問題に関する富裕国と新興大国(先進国)、貧困(途上)国間の対立が残り、合意は来年の会合に持ち越されました。しかし、EU諸国および小規模な途上国の一部は、全ての国に対し温暖化ガスの排出量削減の分野でのより強い国家単位のプランを求めるための決議を採択すべく、連合を結成しています。

COP25会議

 

欧州委員会は声明の中で、今回のマドリード会合の結果に失望し、非常にショックを受けた、とするとともに、「来年、スコットランド・グラスゴーで開催予定の会合において、温暖化ガスの排出量の削減に向けた戦略が得られるよう希望する」と表明しました。

今回のマドリード会合の開催の一方で、科学者らは気候変動による大惨事を阻止すべく、経済を根底から変革し、温暖化ガスの排出や気候変動対策に関するパリ協定での設定目標(地表の気温を産業革命前の時代と比べて摂氏2度以内に抑えること)の実現に向けた行動を開始する必要がある、と警告しています。

国連のグテーレス事務総長は、世界は気候変動の分野で、もはや後戻りのできない段階に差し掛かっているとし、「我々は自ら(諸国)にさらにプレッシャーをかけ、現状打開に向けた各国の努力を増やす必要がある。それは、気候変動が我々よりはるかに速いスピードで進んでいるからであり、我々はチャンスを失いつつあるとともに、もはや気温上昇を食い止められない段階に達する可能性があるからだ」と語りました。

国連のグテーレス事務総長

 

ブラジル・アマゾンやオーストラリアをはじめとする森林火災、洪水の発生、突然の気候変動、世界各地における過去にないレベルでの気温上昇は、地球上に住む多くの人類の生活を今現実に脅かしている自然現象の例です。こうした中、科学者らの弁によれば、このまま気温上昇が続いた場合、今後さらに醜悪な事態が発生しかねません。

子供支援専門の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンは、「今年、アフリカの東部および南部の一部地域が、洪水や河川の氾濫、土砂災害、旱魃や暴風雨の影響を受けており、少なくともアフリカ大陸に住む子ども3300万人が気候変動により、旱魃の危機に瀕している」と発表しました。

マドリードでのCOP25国際会議の開催の一方で、数多くの決定やスローガンが発表されているにもかかわらず、この会議の参加国はこれまで、2030年までに温室効果ガスの排出量を45%削減すること、2050年までにはその排出量をゼロにすること、そして、今世紀末までに世界の気温上昇を摂氏1.5度以内に抑えること、という3つの目標の実現に向けた措置を、それほど講じていません。

この会議の参加国自身も、気候変動や温暖化ガスの排出による数多くの問題に関して議論はしているものの、アメリカとサウジアラビアという、世界最大の温暖化ガスの排出国の経済的な利益や、非協力的な態度、さらにはブラジルなどの一部の国が提起する口実により、合意成立はお預けとなっています。

マドリード会合は、「実現の時」というスローガンを掲げながら物別れに終わりました。現在、環境保護主義者やこの会合の参加者らは、この会議での警告により、特に気候変動対策をめぐる取り決めに関する問題での、各国の協調や共感の精神の芽生えを希望しており、来年のグラスゴー会合に注目しています。

 

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