ネアンデルタール人が、現生人類到達前に描写的手法を獲得していた可能性が浮上
ヨーロッパから西アジアにかけて分布した、更新世中期から後期の旧人類ネアンデルタール人が、独自の描写的手法を獲得していた可能性が浮上しています。
フランス通信が6日火曜、報じたところによりますと、ネアンデルタール人が住んでいたとされるドイツ中部アインホルンヘーレの洞窟で、山形の模様を刻み込んだ5万1000年前のシカの骨が発見されました。
洞窟から見つかった巨大なシカの脚の骨の表面には、6本の斜線が交わる形で模様が刻み込まれていました。
「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション」に、これに関する論文を掲載した研究者らは、「この模様に明らかな実用性はないが、絶滅したネアンデルタール人の創造性に新たな光を投げ掛けるものになる」との見解を示しています。
欧州でこれまでに発見された、こうした模様が刻まれた石器時代の遺物の大多数はホモ・サピエンスによるものであることから、専門家らの間では長期間にわたり、ネアンデルタール人が象徴的なものを作り始めたのは、ホモ・サピエンスと交配してからと考えられてきました。
しかし、今回発見された模様が施されたシカの骨は、放射性炭素年代測定法で少なくとも5万1000年前のもので、ホモ・サピエンスが中欧に到達するより約1万年前のものと研究チームは結論付けています。
研究チームによりますと、ネアンデルタール人が作ったとされる同時期のものには、斜交平行線やジグザグの模様が付けられた火打ち石のかけらや岩盤、歯などがありますが、今回発見されたシカの骨は「これまでに分かっているネアンデルタール人の文化的な表現の中で最も複雑なものの一つ」だということです。
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