英元首相、「変異株発生は不公正なワクチン分配の結果」
イギリスのブラウン元首相が、新型コロナウイルスワクチンを貧困国へ供給しなかったことが変異株発生につながったと強調しました。
ブラウン元首相は27日土曜、英紙ガーディアンに掲載された記事において、「世界全体でのワクチン接種が行われていないことは、新型コロナウイルスが縦横無尽にワクチン未接種者を襲うだけでなく、変異を続けるこのウイルスの新しい株が貧困国から発生する原因になっている」としました。
また、「アフリカ南部6カ国に入国制限をかけたイギリスは25日木曜、オミクロンと名づけられた変異株が、確認されている中でも最も構造が複雑で危険な株であると発表した。この株に感染する危険が現在、世界を脅威にさらしているが、これまでに製造されたワクチンは91億回分で、この数は年末までに120億回分に達する見込みになっている」としました。
統計によれば、イギリスが観光客入国を禁じた6カ国でワクチン接種を受けた人々の割合は、バイデン米大統領が去る9月に主催した世界新型コロナウイルスサミットで年末までに92の貧困国で実現されるべきとした標準値40%をはるかに下回っています。しかし存在するデータからは、約1ヶ月という短い残り時間でこれを達成できる可能性は限りなく低いと見られます。
この記事でブラウン元首相は、「ジンバブエでワクチン接種を完了した人は19%のみで、レソトとエスワティニではそれぞれ27%、22%となっている。最も心配されるのはナミビアで、接種完了者は人口のわずか12%にしかすぎない」としています。
南アフリカでは、全体の接種完了率は27%であるものの、村落地域ではその率が一桁にとどまっています。
この記事ではさらに、「アフリカ大陸は総じてこの状況に怒りを感じているが、彼らが憤慨するのも無理はないと思われる。それは、世界の不十分な支援もさることながら、国民へのワクチン接種に向けた自分たちの努力がEUの新植民地主義による妨害に直面しているからだ」としています。
WHO世界保健機関は、世界でさらに2億人の感染者が出ると予測していますが、その主な理由は、世界でのこうしたワクチンの不平等な分配にあるのです。
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