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ウクライナ危機が欧米の同盟諸国に示す教訓
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ウクライナ危機が欧米の同盟諸国に示す教訓
ロシアは西側諸国による宣伝や警告を意に介すことなく、今月24日からウクライナへの攻撃を開始しました。
ウクライナ危機は、欧米諸国が安全保障を担ってくれるという根拠のない希望を抱いている国々に対し、重要な教訓をもたらしています。
第一の教訓は、明らかでありながら忘れられた論点です。国際関係におけるリアリストらは、権力は軍事的土台にもとづくと主張します。最新兵器や実働的な兵力を持つことは権力の主要な要素です。1990年代初頭にソ連が崩壊した際、ウクライナは5000発の核弾頭を有した世界3位の核大国でした。しかし、核廃絶のためそれらをロシアに引き渡したことは、同国の抑止力が失われることを意味しました。
在イラン・ウクライナ大使のセルゲイ・ブルディリャク氏は、「ウクライナの核兵器引き渡しは政治的過ちだったと確信している。このような過ちを犯すべきでなかった」と述べています。
かつてのウクライナ環境保全相で核兵器引き渡し交渉を担当したユーリ・コステンコ氏は著書『ウクライナと核廃絶』の中で、次のように記しています。
「我々ウクライナ国民は全員騙され、あの協定に関わった。だから我々全員に責任がある。核廃絶はウクライナ国民の喝采とメディアによる支持、宣伝によって実現した。しかし、そのような評価は完全に間違いだったことが今や明らかになっている。まるでウクライナは、国際的な攻撃により統治体制が転覆した第2のイラクになったようだ」
第二の教訓は、西側諸国への度を越した信頼がもたらす結果です。国際関係のリアリストらによれば、安全保障の基本は自給自足であり、どの国も自分の安全は自分で確保しなければなりません。なぜなら、どの他国も安全保障を約束してはくれないからです。
ウクライナ政府が犯した重大な戦略的誤りのひとつが、西側諸国の約束をもとにパズルを解こうとしたことです。現在のウクライナとロシアの危機でこれまでに明らかになったことは、西側諸国による支援はロシアに対する新たな複数の制裁を発動するだけにとどまり、アメリカを筆頭とする西側はウクライナのためにロシアに対して軍事的措置をとることはないだろうということです。なぜなら、西側はそれが自らの利益にはならないとみているからです。
今回のウクライナ危機への西側諸国の反応は、ロシアへの批判とウクライナへの同情の域を出ていません。ジョンソン英首相はウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談で、「現在ウクライナで起きていることに恐怖を抱いている。ウクライナが抵抗できることを望む」と述べました。
マクロン仏大統領も自身のツイッターで、「フランスはロシアの対ウクライナ攻撃を厳しく非難する。フランスはウクライナと連帯の意志を示し、寄り添っていく」と投稿しました。
バイデン米大統領はロシアに対する大規模な制裁をちらつかせながら、「世界中がウクライナのために祈っている」とし、ジル夫人とともに「勇敢で誇り高いウクライナ国民のために祈る」と述べました。
今回のウクライナ危機は、イランが自らの軍事力強化を強調し、軍事力をめぐる西側諸国との取引をするつもりがないとしていることは正しい方針であることを証明しました。ウクライナ危機の真実は、安全保障とは決して取引できるものではないということなのです。

