May 30, 2016 21:37 Asia/Tokyo
  • アメリカ大統領の東アジア訪問

アメリカのオバマ大統領が最近、ベトナムと日本を訪問しました。この訪問は非常に大きな重要性を有しています。ファールス通信のファッターヒー論説員は、オバマ大統領のこの訪問の目的を次のように分析しています。

オバマ大統領のベトナム・日本訪問の目的は、いくつかの点から分析することができます。まず初めに、この訪問はオバマ大統領の任期満了が迫っている中で行われました。このため彼は、この訪問により、今年の大統領選挙での民主党への支持を取り付けようとしています。二つ目に、アメリカの有力なライバルである中国が日を追うごとに経済力や軍事力をつけており、オバマ大統領は中国の近隣諸国との関係樹立により、中国をけん制しようとしています、アメリカはこれまで、東アジアに中国に対抗する勢力を作り出し、これにより、中国との力の均衡を保ってきました。これらのアジアの国には韓国、日本、ベトナムがおり、インドもアメリカと大規模な協力を行っています。オバマ大統領は任期満了前に、電撃的な訪問を行いました。そのひとつがキューバ訪問、もうひとつがベトナム訪問です。1975年のベトナム戦争終結以降、オバマ大統領はクリントン、ブッシュ両大統領に次いでベトナムを訪問した三人目の大統領となりました。

ベトナム戦争から40年が経過し、オバマ大統領は、この国との経済・防衛関係を拡大しようとしています。アメリカ政府は、アメリカの艦船がベトナム沖の海域に到達することを望んでいます。これに加えて、オバマ大統領の訪問と同時に、ベトナム戦争時代から続く武器制裁の解除に関する議論が本格的に提示されました。この方向で、オバマ大統領はベトナム訪問の初日に同国の武器制裁を解除しました。これは東アジアでの軍事的な均衡と中国のけん制を目的にしたものと見られています。

オバマ大統領はベトナムに続いて、日本を訪問しました。その主な目的はG7サミットへの出席、そして広島訪問でした。こうした中、ホワイトハウスの報道官は、「この訪問は被爆者への謝罪を意味しない」と語りました。

日本は現在、世界の経済大国のひとつとされ、アメリカは自国の経済成長と中国の政策への対抗のために、日本の協力を必要としています。オバマ大統領の広島での演説は、原爆の悲劇を繰り返さないようにという平和主義を中心にしたものでした。彼は広島の原爆投下に触れ、核兵器のない世界について語りました。これにより、一部のアナリストは、アメリカと日本は核兵器廃絶に向かって必要な決意を有しており、オバマ大統領の広島訪問はこうした意思の表れであり、日本も自ら、核兵器廃絶に分野で先頭に立っていると考えているとしています。

一方で、特にロシアの専門家は、日本は核兵器保有に関心があるとしています。彼らは、日本と韓国は北朝鮮の動きに対して核兵器を保有することを考えており、オバマ大統領の日本訪問はこうした構想を強化した、と見ています。

概して、この二つの分析は事実とかけ離れています。明らかなことは、アメリカ自身がNPT核兵器不拡散条約に署名していないということです。おそらくオバマ大統領は日本の核兵器保有を求めてはいないでしょうが、アジアの軍事的な流れの強化は支持しています。アメリカ政府関係者は、中国の強力な軍に対して消極的になることはできず、この中で、日本との軍事関係の強化を政策に入れています。

概して、アメリカのアジア政策は日々拡大しているというべきでしょう、オバマ大統領はどの歴代大統領よりも多く東アジアを訪問し、これらの国との関係改善につとめています。このため、アメリカは今後数年以内に、東アジアで、特に中国からの最大の脅威を感じるでしょう。アメリカにとって中国は、今すぐにでも抑制したい強力なライバルです。こうした対抗措置の一つが、中国の近隣諸国との経済・軍事協力です。

このようにオバマ大統領のベトナム・日本訪問は、表面的には平和主義のメッセージを伴ったものですが、ある意味で、中国に対する軍事的な競争に基づいたものです。アメリカはベトナムに対して、ロシアではなく自国の兵器を装備するよう求め、日本に対しては経済の領域を超えて、中国に対抗するために軍事的な連帯に向かうよう求めているのです。

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