OPECが、世界石油需要が23年以降鈍化と予測
OPEC石油輸出国機構筋と業界筋が、2023年の世界の石油需要の伸びが鈍化するとの見通しを示しました。
ロイター通信によりますと、この予測は原油・燃料価格の高騰でインフレが進行し、世界経済の重しになることが背景となっています。
OPECは7月に初めて23年の需要予測を公表しますが、今後のOPECの供給政策を見極める上で、IEA国際エネルギー機関の予測とともに市場の関心が集まっています。
OPEC筋とOPECに近い業界筋は23年の世界の需要の伸びが日量200万バレル以下となり、わずか2%の増加になると予想しました。OPECは22年の伸びを日量336万バレルと予想していました。
IEAは、初の23年の予測を15日の月報で発表する予定です。
一方、OPECは14日に発表した月報で、2022年の世界石油需要の増加を日量336万バレルとする予測を据え置き、新型コロナウイルスのパンデミック前の水準を上回るとの見通しを維持しました。
一方、ロシアのウクライナ侵攻や、パンデミックを巡る動きがかなりのリスクとなるとの見方を示しました。
ウクライナ戦争の影響で原油価格は3月に一時1バレル=139ドル超と、08年以来の高値を付けていました。
OPECは報告書で「現在の地政学的な動きと、今年下半期の終盤に向けたパンデミックの不透明な展開が、(石油需要が)パンデミック前の水準に回復する予測に依然かなりのリスクを与えている」と指摘し、「インフレ圧力は持続する可能性が高く、地政学的な問題がいつ解決されるかは依然極めて不透明だ。とはいえ、今年後半の石油需要は健全な水準になると予想される」との見方を示しました。
世界消費量は22年第3・四半期に従来予測通り日量1億バレルの大台を超え、22年平均は日量1億0029万バレルに達し、パンデミック前の19年をやや上回ると予想しました。
また22年の世界経済成長率予想を3.5%に据え置き、下振れリスクは「依然として大きい」一方、上振れの可能性は「かなり限定的」だとしました。
OPEC加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は20年のパンデミック最悪期に実施した記録的な減産後、増産を進めていますが、一部のOPEC加盟国による油田への投資不足と、最近ではロシアの生産減を背景に増産目標を下回っています。
月報によると、その傾向は5月も続き、同月のOPECの石油生産量は日量17万6000バレル減の2851万バレルとなりました。リビアやナイジェリアなどの減少が響いたと見られています。
また、22年のOPEC非加盟国からの供給は日量30万バレル減の210万バレルと予想し、ロシアの生産量見通しを日量25万引き下げる一方、米の生産量見通しは据え置きました。
米のシェールオイル供給予想は日量88万バレル増とし、先月から据え置きました。