リオデジャネイロオリンピック
古代ギリシャで行われていたオリンピックを近代に復活させた、フランスのピエール・ド・クーベルタン男爵は、「オリンピックで最も重要なのは、勝つことではなく、参加することだ」と語っています。
人生において重要なのが、勝利ではなく、努力であるのと同じように、オリンピックでも、重要なのは、勝利することではなく、立派に戦うことです。
この番組では、古代から現代にかけてのオリンピックの歴史、そして、今回のリオデジャネイロオリンピックの状況と、イラン人選手をご紹介しましょう。
古代ギリシャで、紀元前776年、初めてのオリンピックが開催されました。このオリンピックでは、陸上競技のみが行われ、女性は競技に参加することも、それを観戦することもできませんでした。
オリンピックの開催年から始まる4年間の期間はオリンピアードと呼ばれています。1170年の間、ギリシャ人は4年に一度、オリンピックを開催していましたが、時代と共に拡大し、変化しました。オリンピックには、次第に、レスリング、ボクシング、高跳び、やり投げ、円盤投げ、競歩、乗馬などの別の競技も加えられるようになりました。
オリンピックは、394年、ビザンツ帝国のテオドシウス2世によって廃止されました。オリンピックはこのような歴史を経て、1896年から正式にアテネで再開され、その後、4年に一度、世界各地で開催されています。その間、第一次、第二次世界大戦で、3度中止になりました。
オリンピックの標語は、「より速く、より高く、より強く」となっています。
夏季オリンピックでは、陸上競技、水泳、体操、格闘技、射撃スポーツ、自転車、ウォータースポーツ、球技、混合競技などが実施されます。
オリンピックの旗には、白地に、青、黄色、黒、緑、赤の5つの輪がデザインされています。この5つの輪は、世界の五大陸を象徴しています。青はオセアニア、黄色はアジア、黒はアフリカ、緑はヨーロッパ、赤はアメリカを表すとされています。
今年のリオデジャネイロ夏季オリンピックの開会式は、世界205か国の1万人を超える選手が参加し、マラカナンスタジアムで盛大に行われました。
この大会のスローガンは、「新しい世界」とされています。IOC国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長は、このスローガンについて、次のように語っています。「これこそ、オリンピックが追求することだ。つまり、より良い世界のための変化である。あなた方はここリオデジャネイロで大きな経験を積むだろう。大会の前後で、異なるリオデジャネイロを目にすることになる。よりよい新しい町を」
リオデジャネイロオリンピックでは、28競技306種目が実施され、最も種目数が多いのは、陸上競技です。陸上競技では47個、水泳では34個の金メダルが授与されます。続いて多いのは、レスリング、自停車、体操で、それぞれ18個の金メダルが授与されます。
オリンピックは、世界最高のアスリートたちが一堂に介して盛大に開催されますが、リオデジャネイロからの報道は、この町はそれほど、オリンピックムードには包まれていないことを示しています。一部の国の選手がブラジルでの開催を批判している上に、ブラジルは、国内の政治的な混乱を抱えています。リオデジャネイロでも、各国の選手を見に行こうとする人々の姿があまり見られません。リオデジャネイロ市内の多くの商店では、ブラジルのサッカー代表のユニフォームが売られていますが、オリンピックを象徴する商品はあまり見られません。
オリンピックが開幕する前、リオデジャネイロの警官が、安価な賃金などの労働条件に抗議し、集会を開きました。彼らはこの町の国際空港で、「地獄にようこそ」と書かれた横断幕を掲げて旅行者を出迎えました。この横断幕には次のように書かれています。「地獄へようこそ、警察と消防署は給与を受け取っていません。リオデジャネイロに来る人々は安全を保障されないでしょう」
オリンピックの開幕直前には、リオデジャネイロで、中国のメディア関係者を乗せたバスが銃撃され、地元の6人が死亡しました。また、大統領の職務停止や政治的な危機も、ブラジルの政治に悪影響を与えています。さらに、ジカ熱への懸念もオリンピックの開催に影響を及ぼしています。
様々な報告によれば、選手村も、世界最大のスポーツの祭典を開催するのにふさわしくない状況にあり、一部の国がそれに不満を示し、選手村以外のホテルに選手を移動させました。
イランからは、64人のトップアスリートたちが、メダルの獲得を目指して今回のオリンピックに参加しています。イランが出場するのは、男子バレーボール、柔道、ボート、ボクシング、卓球、重量挙げ、自転車、フェンシング、陸上、レスリング、テコンドー、射撃、アーチェリー、水泳の14種目です。この中で、男子バレーボールは唯一の団体競技となっています。
今年のオリンピックは、シーア派8代目イマーム、レザーの生誕日と重なりました。そのため、イランのオリンピック協会は、イランの選手団を、「イマームレザーの選手団」と名づけています。
イランが1900年に初めてパリオリンピックに出場して以来、2012年のロンドン大会まで、イランは60個のメダルを獲得しました。これまで16回の夏季オリンピックで、イランの選手が獲得してきたメダル数の内訳は、金15個、銀20個、銅25個となっています。イランがオリンピックで獲得した初めてのメダルは、1948年のロンドンオリンピックで、重量挙げ60キロ級に出場した、ジャアファル・サルマースィー選手の銅メダルでした。初の金メダルを獲得したのは、1956年メルボルンオリンピックのレスリング・フリースタイルに出場したイマームアリー・ハビービー選手でした。
これまでのオリンピックで、イランが最も多くのメダルを獲得した種目は、レスリングで38個、続いて重量挙げの16個です。また、前回のロンドンオリンピックでは、金4個、銀5個、銅3個の合計12個のメダルを獲得し、メダル獲得数で17位となりました。
リオデジャネイロオリンピックの公式サイトは、開幕を前に、今大会で活躍が期待される50人の選手を紹介しました。この50人の中には、2012年のロンドンオリンピックのレスリングで金メダルを獲得したハミード・スーリヤーン選手と、2012年のパラリンピックの王者で、今回のオリンピックのイラン選手団の旗手を務めたザハラー・ネエマティ選手が含まれています。
イランのアーチェリー選手、ザハラー・ネエマティ選手は、開会式でイラン選手団の旗手を務めました。ネエマティ選手は、2012年のロンドンパラリンピックで、パラリンピック史上初のイラン人女子選手による金メダルを獲得しました。この試合の後、国連での演説に招待され、障害者アスリートの年間最高選手賞を獲得しました。
ネエマティ選手は、パラリンピックの出場権を獲得する前にオリンピックの出場権を獲得しました。IOCは、どちらの試合にも出場することを許可し、ネエマティ選手は数日をあけて2つの大会に出場しました。今回のオリンピックでは、イランの選手団の中でも、金メダルの最有力候補となっています。
イランの女子選手がオリンピックに出場するようになってから、まだ歴史が浅く、まだメダルの獲得には至っていません。しかし、時を重ねるにつれて参加者の数が多くなっており、1996年のアトランタオリンピックから、2012年のロンドンオリンピックまでの5回の間に、女子選手の数は、1人から8人に増えています。今回のオリンピックには9人の選手が出場しており、これまでの最高を記録しています。
今回のオリンピックで、イランの女子選手が出場する種目は、射撃、陸上、卓球、ボート、テコンドーとなっています。
リオデジャネイロオリンピックは、今月21日に閉幕します。パラリンピックは9月7日に開幕し、18日まで開催されます。