ファジル国際映画祭(画像)(動画)(音声)
(last modified Sun, 30 Apr 2017 06:57:45 GMT )
4月 30, 2017 15:57 Asia/Tokyo

第35回ファジル国際映画祭が、4月21日から28日までテヘランで開催されました。

ファジル国際映画祭では、イランの著名な映画監督であった故アッバース・キアロスタミー氏の功績を称える部門が設置され、国内外のゲストやイランの現代映画に関心を持つ人々から歓迎されました。この時間はファジル国際映画祭についてお話しましょう。

 

ファジル国際映画祭は、1983年2月に初めて開催され、その後、イラン最大の映画祭として、毎年テヘランで開催されています。この映画祭は、国内外の映画を賞賛し、優れた作品を紹介するための文化交流の場となっています。

 

ファジル国際映画祭は、現在まで、イランの映画界の発展において重要な役割を果たしてきました。毎年、映画界の巨匠や新鋭の監督がその作品を紹介しています。この映画祭は3年前から、国内部門とは別に4月に開催されています。

 

ファジル国際映画祭のプログラムでは、国際映画コンペティションやアジア・イスラム諸国のパノラマ映画といった部門があります。この他、古典映画、ドキュメンタリー映画、過去の巨匠の作品も上映され、さらに、毎年、数々の会合や教育ワークショップなどが開催されています。

 

今年のファジル国際映画祭には、世界66か国から、350人以上のゲストが招待されました。これらのゲストは、アジア31か国、ヨーロッパ23か国、アフリカ6か国、アメリカ大陸5か国とオーストラリアの人々で、そのうちイスラム諸国は24か国でした。

 

これらのゲストは、監督、脚本家、俳優、映像、プロデューサー、映画祭の関係者、マーケット関係者、そして、27歳以下の映画監督などで、そのうちの半数はイラン人、55人が地域やアジア、その他の国々の関係者でした。

 

ファジル国際映画祭には、世界58か国の短編・長編映画140作品が参加しました。そのうち最も多かったのが35本のイラン映画で、フランス映画も17本ありました。

 

ファジル国際映画祭の開催と同時に、イランや世界の映画界の巨匠であった、アッバース・キアロスタミー監督に追悼を捧げるイベントが3日間にわたって行われました。2016年7月4日にキアロスタミー監督が亡くなった後、世界各地で数々の追悼イベントが開催されてきました。

 

そして監督が亡くなってから10か月後の現在、この監督の祖国であるイランでも、「友だちのうちはどこ」というタイトルで追悼イベントが行われました。

 

キアロスタミー監督に関する芸術家たちの作品の展示会と同時に、数々の会合の中で、キアロスタミー監督の人生、芸術作品、世界的な地位が、イランや海外の文化人、映画界の関係者によって紹介されました。

 

初日には、監督が病床で最後の数か月に編集を行っていた最後の作品、「take me home」が上映され、世界の著名な映画監督や批評家によるメッセージが送られました。キアロスタミー監督に関する日本人のメッセージです。

 

2日目には、日本やイタリアなどにおけるキアロスタミー監督の映画制作に関する会合が開催されました。また、3日目には、イランや海外でのキアロスタミー監督の映画制作の教育ワークショップについて話し合う会合が開催され、イランやアジア、コロンビア、キューバの大学生による優れた映画作品が上映されました。

 

イラン、地域、世界の若い映画製作者が参加した講座は、今年のファジル国際映画祭の魅力的な部門のひとつで、数日間にわたってテヘランで開催されました。この部門の目的は、映画祭やワークショップ、講座の中で、イランや海外の関係者が参加し、優れた能力を開発することにありました。この6日間にわたる講座の中で、多くの人々がこの機関に登録し、その結果、彼らの活動が1年にわたって評価されることになります。

 

今年のファジル国際映画祭と同時に、テヘランで、イラン映画マーケットも開催されました。イラン映画の世界的な成功に注目し、イランの国際映画マーケットは1998年にファジル国際映画祭と同時に始まりました。

 

2004年、地域の文化交流の重要なイベントを開催する目的で、初めて、国際企業が招待されました。こうして次第にイランのファジル国際マーケットは、地域で制作された映画やテレビ番組を提供する上で、影響力のある場所となりました。2015年からは、ファジル国際映画祭と国際マーケットが、国内の部門から別れて独立した形で開催されるようになっています。

 

今年の映画マーケットの責任者であるヤーデガーリー氏は、次のように語っています。「今回の映画マーケットには、47のブースが用意され、ゲストの会合のための新たな空間も設けられた。18の海外の企業が招待され、残りのブースはイランの企業のものだった」

 

イランの映画配給の専門家は、社会的、政治的な状況により、映画製作者は外国の映画祭への参加に関心を寄せているとし、次のように語っています。「2015年、EU28か国には1100本の長編映画があったが、ヨーロッパ以外で上映されたのは、そのうちわずか10%のみだった。700本に達するアメリカの映画も、世界の市場に提供されたのは、そのうちの15%のみだった。インド映画についても、海外で上映されるのは5%である。だがイランでは、2016年、120本の映画が製作され、そのうち少なくとも60本が国際的に上映された。つまり、そのうちの半分である」

 

今回のファジル国際映画祭では、10本の短編作品、ドキュメンタリー映画、シリアの戦争やISISとの戦いをテーマにした映画も上映されました。

 

今年のファジル国際映画祭は、4月21日から28日まで、テヘランで開催され、優秀な作品を紹介して幕を閉じました。