第30回テヘラン国際書籍見本市(動画)(画像)
毎年5月に開催されるテヘラン国際書籍見本市は、イランの国民的な書籍関連のイベントとされています。
今年で30回目となったこの書籍見本市は、今月2日に開幕し、10日間にわたって開催されています。今夜は、このイベントの最新情報をお届けすることにいたしましょう。
昨年までに29回開催されているテヘラン国際書籍見本市は、アジアと中東地域において最も権威のある国際書籍見本市とされています。この見本市には、2000を超えるイランの出版社と、数百に上る外国の出版社が出展し、開催期間中の来場者数は400万人を超えるとされています。
この見本市の開催目的の1つは、読書の文化の拡大と文化の本質をアピールするとともに、出版産業の質の向上をはかることとされています。
そもそも、一部の国では国際書籍見本市の主な開催目的は、商業目的が第1とされています。それは、こうした見本市において出版社が編集の権利などを互いに譲渡しあうことで、経済取引が活発化し、文化関係の製品の宣伝とともに、新たな市場への出版物の供給につながるからです。しかし、テヘラン国際書籍見本市は、全ての社会階層および年齢層の人々の間に読書の文化を広げることに重点を置いており、過去30年間にわたり歴史を築いてきました。
今回の見本市の開幕式は今月2日、テヘラン市の最南端にあるシャフレアーフターブ常設展示場において開催されました。この式典において、イランのサーレヒー・アミーリー・イスラム文化指導大臣は次のように述べています。
「国際書籍見本市は、1979年のイランイスラム革命後、最も重要な文化的行事の1つとなり、事実上イスラム革命の産物と言っても過言ではない。イスラム革命の指導者ホメイニー師、そしてイランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師の見解では、書籍は文化の発展と変革において重要な位置づけにあり、その役割を維持することは、イランのイスラム共和制を愛する全ての人々の責務と言える」
第30回テヘラン国際書籍見本市の開幕式では、特別ゲストとしてイタリアの文化活動・遺産副大臣が出席しました。さらに、セルビアの文化大臣と出版業の専門家による代表団、そしてテヘラン駐在の各国大使、そのほかの複数の出版団体も顔を連ねていました。
また、この開幕式では、2016年度におけるテヘランやそのほかの地方都市の優秀な出版社が発表されました。
さて、今回の書籍見本市の国内部門には、2643の出版社が出展し、800以上のブースに分かれて24万に上るタイトルの書籍が展示されています。今回は、13万5000平方メートルものスペースが開催者に委ねられています。
今年は、初めての試みとして、ゲストシティーの代表者が招待されています。今回は、このゲストシティーにトルコのイスタンブールが選ばれており、このこともペルシャ語やイランの文化の領域における良い経験となることが見込まれます。
また今回は、もう1つの初の試みとして、見本市奨励金が提案されました。これは、出版産業の活動家と関係を築く絶好のチャンスと考えられています。昨年の政策評議会では、ペルシャ語からそのほかの言語への翻訳に精通している10人の専門家に奨励金が支給されることが決定しました。これらの専門家の多くは文筆家、出版業者、そしてペルシャ語からそのほかの言語への翻訳に携わっている人々であり、彼らの国籍はエジプト、アルメニア、イタリア、スイス、アメリカなど多岐にわたります。
さらに、今回の見本市には、14人の外国の見本市の開催事務局や出版社連盟の責任者も参加しました。アラビア語部門には、94の出版社が参加しており、出展されている書籍のタイトルの数は4万7234を数え、ラテン文字部門には15万144のタイトルの書籍が出展されています。
また、今回の見本市の開催期間中には、ドイツ・フランクフルト国際書籍見本市のブースが設けられ、ドイツの文化活動家や出版社の代表団が参加する予定です。この代表団には、フランクフルト見本市執行事務局の関係者が含まれています。
そして、ドイツの18の出版社の代表や書籍も、この見本市に出展しています。今回は初めて、ドイツの詩人の一団が参加する予定であり、開催期間中に「イラン建築入門」、そして「効果的な市場開発により書籍販売を増やす方法」といったタイトルの書籍が公開され、セミナーが開かれることになっています。
テヘラン国際書籍見本市の国際部門は、幅広い国際コミュニケーションを図ることを目的とした部門です。今年は、過去1年間にこの分野で目覚しい活動実績を残したイタリアが特別ゲストとして招かれています。イタリアは、35人の著名な作家をはじめとする40人の団体を結成し、この見本市に参加しています。
今回の見本市の初日には、イランのサーレヒー・アミーリー・イスラム文化指導大臣や、イタリアの文化活動・遺産副大臣などの立会いのもと、イタリアの特別ブースが設立されました。イタリアの文化活動・遺産副大臣は、文化面でのイランとイタリアの協力について、次のように語っています。
「以前にイタリアの首相も表明したように、イランとイタリアの関係はまず文化的なものであり、次に政治や経済関係が続く。私は本日、イタリアの文化・観光業活動・文化遺産大臣の特使として、西側諸国の特別ゲストとして初めてテヘラン国際書籍見本市に参加できたことに、心から祝賀の意を表したいと思う。テヘラン国際書籍見本市の重要性は、誰の目にも明らかである。そして、このイベントはイランにおける読書の文化や書籍の豊かさを示すものであり、情熱的で他に例のない経験だと思われる」
第30回テヘラン国際書籍見本市は、「もう1冊多くの本を読もう」というスローガンのもと、今月13日までテヘラン・シャフレアーフターブ常設国際展示場において開かれています。