文化の夏4
夏は、読書の機会です。この時期は読書への興味が高まります。この時間は、今年の夏の、読書や図書に関する主な出来事についてお話しましょう。
11世紀のイランの歴史家、アボルファズル・ベイハギーは、本の価値や重要性について次のように語っています。
「最良の仲間は本である。本はあなたを一人にしない。本は熱中することができる。本はあなたの秘密をばらすこともない。本によって、よいことや知識を手に入れることができる」
明らかに、社会における一般の人々の読書レベルが高ければ高いほど、知識のレベルも高くなります。読書や研究活動とは、単に教科書の内容を読むことに限られません。一部の人々は、現代的なメディアを、読書のライバルと考えていますが、実際はそうではありません。研究や知識に関心を持つ人々は、新たなメディアが登場したこの20年にも、それまでと同じように自分たちの道を歩み続けてきました。
1950年代から60年代にかけて、テレビが読書に与える影響について多くの研究が行われ、テレビは本や読書に大きなダメージを与えると考えられていましたが、そのようなことは起こりませんでした。そのため、読書が必要であれば、それを奨励することもそれほど必要ではなく、新しい貴重な本を紹介するだけで十分なのです。
イラン全国の「読書の夏」というプロジェクトがちょうど折り返し地点にきたとき、テヘランの人々は、およそ14万冊以上の書籍を購入し、このプロジェクトの本の購入数の新記録を樹立しました。読書協会は、このプロジェクトで最も多くの本の売り上げを記録したのはテヘラン州だったとしています。2位は北東部のホラーサーンラザヴィー州、3位は中部のイスファハーン州、4位はフーゼスターン州、5位はファールス州、6位はゴム州でした。
読書の夏プロジェクトは、2年連続で実施されており、このプロジェクトに参加している本屋で、通常の20%から25%引きで本を購入することができます。
青少年向けの特別プログラムもテヘランで実施されました。このプログラムは、子供向けの楽しいゲームから始まり、読書によって続けられました。モハンマドレザー・シャムスの「足を捜す靴下」という本が、子供たちに朗読されました。
読書会が終わった後、子供たちは、絵を描いたり、工作をしたりして過ごし、作家が、4歳から6歳の子供向けに書かれた本を親たちに紹介しました。また、児童書の作家や翻訳者が、自分の本に子供たちのための署名を行いました。
作家のモスタファー・ラフマーンドゥーストは、子供たちよりも、若い親たちに人気があるようです。彼らはこの作家と一緒に写真を撮ったり、サインをもらったりして、この数十年、教科書に載っている彼の詩を懐かしく思い出しています。モスタファー・ラフマーンドゥーストは、このイベントに参加した際、次のように話してくれました。「子供たちの読書を奨励するには、2つの要素がある。一つは、作品を人々の目に触れるようにすることであり、もうひとつは、彼らのために本を読んで聞かせることである」
「1001の絵の中での千夜一夜物語」という展示会が、イラン西部のハメダーンで開催され、その中で、アボルハサン・ガッファーリーが34インの生徒の協力を得て描いた40作品の絵画が、この2日間の展示会で展示されました。
これまで、千夜一夜物語は、一般的な古い伝説を集めたものとされてきました。世界的に知られるこの本は、1843年、つまり、180年ほど前のガージャール朝のモハンマドシャーの時代に、ペルシャ語に翻訳され、その後、ミールザー・モハンマドアリーが、ペルシャ語の詩をこの本に加えました。この本の原本は、2280ページで、そのうちの1142ページがペルシャ語、1134ページが画像となっています。
テヘランにある「本の庭園」の内部の空間には、16の展示場があり、それぞれの広さは200平方メートルで、建物は2階建てになっています。この「本の庭園」は、完成後、一年を通して、本の常設展示場となっています。
本の庭園は、通常で一日辺り3万人、特別な時期には5万人までを受け入れています。敷地内には、展示場やテレビ、ラジオが備え付けられたスタジオ、工房、さまざまな講座、レストラン、喫茶店などが存在しています。
本の診療室は、多くの注目を集めています。治療のための本は、さまざまな病気を本を読むことによって治すための効果的な方法を示しています。本の庭園は、そのために設置されたクリニックであり、この診療室を訪れ、そのサービスを利用することができます。
数日前、イラン新政府のイスラム文化指導大臣にサーレヒー氏が就任しました。サーレヒー氏は次のように語っています。「医者が肉体を治す存在だとしたら、文化や芸術の関係者は、精神を治す存在である。もし医者の大切さが理解されるのなら、文化や芸術、メディアの分野で努力する人々の大切さも理解されるべきだ」 サーレヒー氏はまた、「文化や芸術ほど、世界的なものはない。イラン人は長年に渡り、文化と芸術によって行き続け、あらゆる侵略を退けてきた」としました。
サーレヒー氏はまた、こう語っています。「イランの文化と芸術の国際化は、ひとつの機会である。この100年、あらゆる分野でそのような機会が生まれたわけではない。現在イランは、あらゆる分野で主張を有しており、それは社会的な事実である。イラン文化は価値が高まっており、国際レベルで交流を行う力を持っている」 加えて、映画、音楽、詩、児童文学、演劇、出版といった分野は、イランを紹介する上で多くの機会を有しているとしています。