最高指導者によるノウルーズの表明
この時間は、イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、イラン暦の今年の年頭に北東部のマシュハドで行った演説についてお話しましょう。
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、イラン暦新年の初日にあたった21日水曜夕方、北東部マシュハドのイマームレザー聖廟の巡礼者らを前に演説し、重要な表明の中で、今年40周年を迎えるイスラム革命の力強さとエネルギー、アメリカの地域における悪しき陰謀の撃退、今年のスローガンが「イラン製品の支援」とされた理由と、それを実現するための方法について語りました。ハーメネイー師は、今年も例年と同じように、シーア派8代目イマームの聖廟を巡礼することによって新しい年をスタートし、シーア派9代目イマーム、ハーディの殉教に哀悼の意を示し、新しい年の始まりがイマーム・ハーディの殉教日と重なったことで、イラン国民がこれまで以上に神の導きを受けることができるよう期待感を表明しました。
ハーメネイー師はまず、演説の中で、スローガン、価値観、基盤となる原則に関する、イランのこの40年の歩みを総括し、イランの体制責任者のアプローチを評価しました。ハーメネイー師は、さまざまな価値観の維持と革命の目的の追求について、「イラン国民は、この分野で試練を乗り越え、革命の真のスローガンを当初のエネルギーのまま、現在まで維持することに成功している」と語りました。さらに、独立、自由、民主主義、国民としての自信、公正、宗教的な戒律の実践を、革命の基盤となる原則として挙げ、“独立”は、実際、200年に及ぶ外国の支配へのイラン国民の反応であったとし、「イランは真の独立を享受しており、現在、イランほどの独立を実現している国はない。大国の影響をまったく受けない意志を持っているのは、唯一、イラン国民のみだ」と語りました。
ハーメネイー師は、革命の根本となるスローガンのひとつである“自由”についても、「一部の人は、自由を悪用し、イランには自由がないと主張しており、外国もそれをプロパガンダの中で広めているが、イランには、思想、表現、選択の自由が存在する」と語りました。また、「現在、イランには、政府に反する見解をもっているために、圧力を受けるようなことはなく、それが行われる可能性はない。しかし、イランにおける自由には、世界の他の地域とは異なり、枠組みが存在する。その枠組みとは、イスラム法に基づく憲法である」としました。
ハーメネイー師は、イスラム体制の基本となる原則のひとつ、“民主主義”についても、「この40年、平均してほぼ1年か2年に一度は選挙が実施され、国民も自由にそれらのs円居に参加してきた。その結果、この40年、さまざまな政治的傾向を持つ政権が誕生してきた」と語りました。さらに、“国民の自負心”を、革命で実現されたスローガンのひとつとして挙げ、体制責任者のこれまでの取り組みについて、「この40年、体制責任者は、安定と安全の確保、科学技術、道路、ダム、発電所、港湾などのインフラの整備、非石油製品の輸出、社会の開発といった分やで非常に好ましい活動を行ってきた。さまざまな統計は満足のいくものだが、敵は、プロパガンダによって、その事実を隠蔽し、国民が革命や体制に失望するように仕向けようとしている」と述べました。
ハーメネイー師は、引き続き演説を行う中で、イランの発展のために、人材や自然の可能性をより合理的に活用する必要性や方法について語りました。ハーメネイー師は、勤勉で優秀な若者たちは、学術、産業、文化、教育におけるイランの最も重要な可能性だとし、「残念ながら、この若者たちの存在は十分に活かされていない。そのため、若者が可能な限り活躍できるようにすべきだと訴える」と語りました。さらに、「人口の波」を、イランにとっての重要な可能性として挙げ、イランの人口増加への反対を批判し、「人口を増加させる政策は必ず、実行されるべきだ」と述べました。また、地理的な利点と貴重な天然資源を、発展のためのイランの重要な可能性として挙げ、「この大きな可能性が、若者や関係者のイニシアチブを伴うものであれば、イラン経済は、世界のトップ12カ国の一つになるだろう」と強調しました。
ハーメネイー師は続けて、さまざまな可能性が完全に活用されていない理由を説明し、一部の体制責任者が、イランの可能性の重要性を信じていないことを、第一の障害として挙げました。ハーメネイー師は、新たな技術や産業における若者たちの驚くべき発展に触れ、「体制責任者は、若者たちの力と能力を信じるべきだ。若者たちもまた、疲れを感じることなく、イニシアチブによってそれを追求すべきであり、価値を知らない一部の動きに、失望してはならない」と述べました。さらに、イランの発展の別の妨げとして、一部の体制責任者の怠慢、外国への信頼、抵抗経済や国内重視政策の無視などを挙げ、「国内重視とは、国内の活動によって富を生産することであり、外国に期待することではない」と語りました。また、政治における排他主義、真剣な汚職対策の不在、石油への依存を、イランの発展にとっての大きな障害として挙げました。この他にも、消費主義や過剰な安楽主義など、国民の生活様式における根本的な問題を挙げました。ハーメネイー師は、「すべての人が、国家の経済と国内の製品の消費に傾くべきだ」と強調しました。
ハーメネイー師はまた、「イラン製品の支援」という新しい年のスローガンを実現する必要性と方法について触れました。ハーメネイー師が、今年のスローガンを「イラン製品の支援」の年としたことには、2つの目的があります。一つ目は、体制責任者の政策に方向性をつけること、二つ目は、イランの重要な問題やニーズに世論を注目させることです。今年もまた、ハーメネイー師は、国民に向けたイラン暦新年のメッセージの中で、今年のスローガンをイラン製品の支援の年とし、「国民の生産が加速されれば、多くの問題が解決するだろう」と強調しました。さらに、イラン製品は、国民と体制責任者の計画、投資、活動、イニシアチブの産物であるため、非常に重要だとし、「経済活動家や生産業者は投資により、体制責任者は計画により、若者は知識と開発により、労働者は作業と努力により、製品を社会に提供する。国民もまた、生産に貢献すると同時に、イラン製品の購入と消費により、この労働と努力の賜物を支援すべきだ」と述べました。
ハーメネイー師は、イラン製品をどのように支援するかについても、重要な点に言及しました。ハーメネイー師は、生産を増加するための計画、製品の質の向上、国民のニーズに沿った製品の生産、価格競争、輸出市場の獲得を、イラン製品が支援されるための方法として挙げました。ハーメネイー師は、輸入が生産に及ぼす破壊的な影響は、完全に根本的なものだとし、輸入の徹底した管理、国内で生産される、あるいは生産することが可能な製品の輸入の完全な禁止、密輸対策を、イラン製品の支援に向けた政府の重要な責務として挙げました。
ハーメネイー師は、演説の終わりに、地域問題やアメリカの悪しき性質に触れ、「昨年、イランは、イラン国民の誇りと力を地域に示し、過激派を敗北させ、安全を確立する上で重要な役割を果たすことができた」と述べました。さらに、イランはこの偉業により、地域におけるアメリカの陰謀を退けたと強調し、「現在、世界各国の内政に干渉している大国は、イランに抗議し、なぜイランは地域問題に干渉しているのかと言っている。我々はそれに対し、それはあなた方にはまったく関係のない問題だと言おう」と述べました。ハーメネイー師は、一部の地域諸国におけるイランの駐留は、各国の国民や政府の要求に従って行われているとし、「われわれは、理不尽な要求を押し付けたことも、他国の内政に干渉したこともない。彼らから要請があったため、われわれのそれを支援した。この支援は、感情的なものではなく、非常に理性的な計画と論理的な動機によって行われた」と語りました。
ハーメネイー師は、地域に関するアメリカの陰謀に触れ、「アメリカは、ISISのような悪しきグループを誕生させ、地域の人々を内紛に巻き込み、彼らの注目をシオニスト政権から逸らせようとしたが、われわれは神の恩恵により、その陰謀を退けることができた」と語りました。さらに、ISISの弾圧におけるアメリカの役割についての彼らの主張に触れ、「アメリカは、ISISを消滅させようとは思っていなかった。また、アメリカには地域の安全を確保する力もない」と強調しました。ハーメネイー師は、イランは地域に安全を確立することができたと強調し、「今後もそれは続くだろう。明らかにアメリカが、地域問題において目的を果たすことはないが、イランは神の恩寵により、地域ですべての目的を達成するだろう」と語りました。ハーメネイー師は今回の演説を次のように締めくくりました。「イランの若者たちは、前の世代の人たちが考えていたよりもはるかによい形でイランという国家を作り上げ、イランの独立、栄誉、偉大さの旗を、これまで以上に空高く掲げるだろう」