ペルシャ語ことわざ散歩(125)「ヘビのわきの下を探す」
皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。
今回ご紹介するのは、「ヘビのわきの下を探す」です。
ペルシャ語での読み方は、Donbaal-e ziir-e baghal-e maar budanとなります。
皆様もお気づきのように、蛇にはもともと手足がなく、従ってわきの下は存在しないことになります。このことから、この表現はそもそも存在しないものを求め、しかもそれを探すこと自体無意味であることをさします。
ただ実際には、特にそれほど問題にならないような欠点に目を光らせ、どうでもよいあら捜しをする、または本業をそっちのけにして付随的なことに力を入れるような人に対して使われているようです。
日本語でも、不要なものを追加するという意味で「蛇足」という故事成語がありますが、ヘビに足がないことの理由については、ヘビが昔、地中に住んでいたトカゲの仲間から進化した、という説が有力とされています。つまり、そもそも地中の穴の中で生活していたことから、そうした生活に便利なように体も細くなり手足が退化していった、というものです。
ヘビは人間との関わりも強く、世界各地で神話に登場し、また神の使いなどとする民族も多いようです。日本でもことわざに多く登場するとともに、神道では神の使いとみなされ、ヤマタノオロチなどの伝説にも登場します。脱皮を繰り返す蛇は死からの再生の象徴ともされているようです。一方、キリスト教では蛇は人間に原罪をもたらした邪悪の権化と見なされています。
以上、今回はヘビにまつわることわざをお届けしました。それではまた。