ペルシャ語ことわざ散歩(226)「あなたの名声が隠れたままであってほしくないなら、偉人の高名を隠すなかれ」
皆様こんにちは。イランで実際に使われている生きたことわざや慣用表現をご紹介する「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回はイランの大詩人サアディの名句の1つをご紹介してまいりましょう。
13世紀の詩人サアディは、「あなたの名声が隠れたままであってほしくないなら、偉人の高名を隠すなかれ」という名句を残しています。
ペルシャ語での読み方は、Chu khaahii ke naam-et na-maanad nahaan, ma-kon naam-e niik-e bozorgaan nahaanとなります。
これは文字通りの意味から、本来の意味がほぼ明確にお判りいただけるかと思います。つまり、後世にまで自分の名声が世界に轟き、人々の間で名声を博したいと思うなら、過去の偉大な人の名声を思い起こすべきである、ということになります。
また、力のある大人物などから何か知識を学んだならば、それを誇りにしてその人を称賛するべきだという解釈もなされます。
逆に、過去の偉人や学者の業績や発見などを活用しておきながら、それらの偉人の名を明らかにせず隠しておけば、その人自身も人々に知られることなく埋もれたままになる、という意味にもなります。
このことから、過去の偉人の業績などを歪曲したり、全く逆の形で吹聴することは言語道断ということにもなるでしょう。
過去の人々を思い起こし、ほめたたえることは、ひいては後世で自分が語り継がれることにつながると思われます。
さらに、過去の偉人とまでいかなくとも、また後の世の中での名声など当てにしなくとも、既に亡くなっている自分のご先祖様、または学校時代にお世話になった恩師、過去に出会った人々を思い起こし、賞賛すれば何らかの形でその人たち、また亡くなった人々であればその人たちの魂に届き、それがひいてはいつの日か何かの形で自分に帰ってくると思われます。
私たちは誰もが、人の陰口や悪口などに走るという危険をはらんでいます。ですが、そのような要素を「人を称賛すること」「過去の人々の良さを思い起こし語り継ぐ」という行動に置き換えたいものですね。それではまた。
この番組は、IRIBイランイスラム共和国国際日本語通信パールストゥデイがお送りしています。