イランの芸術
フェルト細工
カスピ海南岸に隣接するイラン北部の緑豊かな地域では、常に同国の豊かな芸術・文化が垣間見られてきました。
今回、私たちはイラン北部・ギーラーン州に来ています。
ギーラーン州で非常に古くから行われている伝統工芸の1つに、フェルト細工があります。
フェルトは、羊毛で作られる生地・繊維品の一種です。
フェルト細工の工房では、フェルトによる様々な品が生産されています。
フェルトの用途は極めて多岐にわたります。
フェルトは衣服にも、敷物にも使用されます。
フェルト細工は、イラン的な特徴を持つ芸術の1つとみなされています。
フェルトには、天然の色素や伝統的なデザインが使用されています。
今回の、このフェルト細工についてお話したいと思います。
フェルト細工職人の男性・レザーイーさんは、これまで長期間にわたりここで作業に当たっています。
インタビュアー;ここでは、何を作っていらっしゃるのですか?
レザーイー氏:ここでは、実に様々なものが作られています。
カーペットカバーや一般的な敷物、上着などです。
これはチョッキです。ちょっとここで試着してみましょう。
これは、もっと大きめのサイズでしかももっと地味なものです。
このチョッキは、羊を放牧する際に身に着けるものです。
このタイプのものは、シャブラーと呼ばれます。
夜就寝する際の敷物として使われます。
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インタビュアー;フェルトはどのようにして作られるのですか?
レザーイー氏;それでは、フェルトづくりの途中過程をご覧ください。
これは天然の羊毛です。
まず、羊毛をより分けます。
私たちは、黒や焦げ茶色の羊毛を使います。
フェルト細工は、ギーラーン州に非常に古くから存在する伝統工芸の1つです。
昔はじゅうたんがなかったため、フェルト生地が敷物として使われていました。
しかし、今日では用途は以前より少なくなっています。
現在、ギーラーン州でフェルト細工に携わっているのは、私だけです。
私たちは、観光文化遺産局が開催する見本市に参加しています。
日本やドイツなど、多くの国から買い付けにやってきて、フェルト生地を買っていきます。
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フェルト細工では、熱湯が使われます。
インタビュアー;これで出来上がりですか?
はい、フェルトができました。
あとは干すだけです。
これを天日干しにします。