1月 04, 2017 20:48 Asia/Tokyo
  • ハリージェ・ゴワートル・フールバーフル湿原

湿地の保存に関するラムサール条約に登録されているイランの24の国際湿地のうち、スィースターンバルーチェスターン州には、3つの湿地が存在します。今回の番組では、そのうちの一つ、ハリージェ・ゴワートル・フールバーフル湿原をご紹介することにいたしましょう。

スィースターン・バルーチェスターンは、イラン南東部の最も広い州のひとつであり、スィースターンとバルーチェスターンの二つの地域で構成されています。州の南部にあるバルーチェスターンの気候は、オマーン海の影響を受けており、バルーチェスターン北部の標高3941メートルの火山の存在は、多様な気候条件を生じさせています。州の北部にあるスィースターンもまた、ヒールマンド川の沖積層から生じた世界最大の淡水の湖を有しています。

現在のスィースターンの地は、イランの詩人フェルドースィーが書いた叙事詩シャーナーメの英雄、ロスタムの生まれた場所です。歴史の著述者は、スィースターンがキューマルス王の子孫の一人であると見ています。スィースターンという名前は、アーリア人のサカ族から取られたものです。サカ族は紀元前128年ごろに、スィースターンを占領し、この地に定住しました。

スィースターン・バルーチェスターンには、宗教的、歴史的な遺跡が多く存在しますが、ほとんど知られていません。オマーン海からハームーン湖までのこの州の美しく多様性のある景観は、1年を通して非常に見ごたえがあります。土でできた強固な城砦、ナツメヤシの背の高い木を伴う緑の自然、さらにスィースターン・バルーチェスターンの尾根の景観は、旅行者の記憶に残る強い印象を与えています。

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オマーン海の北岸では、チャーバハール港の自然環境や地質学的な現象、またマングローブなどを目にすることができます。この地域の人々によって建設されたコナーラク港の漁船の停泊所もまた、この地域の見所の一つと見なされます。

この土地の言葉にできないほどの多くの美しさの傍らで、湿原という美しい自然現象が見られます。今夜の番組ではこの州にあるハリージェ・ゴワートル・フールバーフル湿原をご紹介することにいたしましょう。

ハリージェゴワートル・フールバーフル湿原は、イランとパキスタンの国境近く、バルーチェスターン南東部、チャーバハールの東85キロのところにあります。面積は7万5千ヘクタールとなっています。これらの湿原には川や湾などが含まれ、バーフーキャラート、フールゴワートル、ハリージェゴワートル川の60キロ分を含みます。

これらの湿原の水はサルバーズ川から確保されています。この河川は季節によって現れ、その水量は、豪雨などの後に最大量になります。この地域の湿度は年間を通じて高く、湿原の沿岸部は、高い岩礁を伴う砂の丘となっています。

バーフーキャラート川に沿って様々な植物が見られ、それらは洪水の速度を抑制したり、動物の餌の確保や地域の経済において重要な役割を果たしています。ハリージェゴワートル湿原には水生植物が豊富にあり、葦などの植物が細い帯のように湿原の周囲を取り巻いています。

湿原の河口には、マングローブが200ヘクタールに渡って存在し、川から離れるほどに植物の分布は減少します。地域で散発的な降雨がある時期に、植物はよく生育します。

湿原が浅瀬であることから、豊富な食料やマングローブの存在は、地域で水鳥が冬を越したり、産卵したりするのに適した場所を生じさせています。この湿原ではこれまで41種類の鳥類が確認されており、そのうち13種類は留鳥、残りは渡り鳥となっています。さらに海岸のそばには小さな島があり、多くの鳥が羽を休めるのに重要な場所と成っていますが、海の干満があるため、産卵には適していません。

ハリージェゴワートルでは、砂浜の存在により、各種のカメが産卵を行っています。湿原には様々な魚類、ジャッカルなどの哺乳類も存在します。

ハリージェゴワートル・フールバーフール湿原は、クロコダイルの保護区となっており、1999年、ラムサール条約に登録されました。さらに、鳥類の保護に関する国際機関によって、鳥類の重要な生息地にも指定されています。

湿原のそばでは漁業や農業、さらには家畜の放牧も行われており、川の氾濫や大しけによる被害を防いだりするのに一役買っています。これに加えて、ハリージェゴワートル・フールバーフールの美しい景観は、観光業の発展に向けた状況を整えています。