1月 11, 2017 19:54 Asia/Tokyo
  • ハームーン湿原

イランには湿地の保存に関するラムサール条約に登録された24の湿地が存在し、そのうちの3つがイラン南東部のスィースターンバルーチェスターン州にあります。今夜は、ハームーン湿原をご紹介することにいたしましょう。

ハームーン湿原群は、世界の重要な湿原の一つで、イラン高原最大の淡水湖と見なされています。この湿原は、イランとアフガニスタンの間にある共同湿原であり、ハームーンプーザク、ハームーンサーベリー、ハームーンヒールマンドの三つの部分から成り、ハームーン国際湿原を構成しています。この湿原は、ザーボル行政区を北部、北西部、西部、南西部からとり囲んでいます。

ハームーンプーザクは、1万ヘクタール、サーベリー、ヒールマンドは合わせて5万ヘクタールの面積を有しています。ハームーンプーザクの標高は409メートル、サーベリー、ヒールマンドは470メートルとなっています。

ハームーン湿原は、淡水の湖、季節ごとに現れる湿原、恒常的に存在する湿原の三つから成っており、ヒールマンド川の水が満たされているときには、この三つは共に結びついて、およそ40万ヘクタールの広大な湿原を生じさせます。

アフガニスタンの北部や中部を源流とするヒールマンド川といくつかの小さな川が、これらの湿原の水源となっています。雨の多い年には、この湿原の平均水深は、5メートルにもなります。

概して、この地域はあたたかく乾燥した気候を有し、冬季の平均気温は15度から20度となっており、夏季には35度から40度になります。年間の平均降雨量は100ミリメートル以下で、冬季に降雨が多くなります、この二つの湿原は東と南を標高の低い平原、農地、複数の村落で囲まれています。南部の平原には広大な塩湖、砂浜、砂丘が見られます。

ハームーン湿原は、淡水と塩水のものがあり、泥の底、広大な平原や塩の土地とともに、葦原が存在します。地域で長期にわたる洪水が起こった年には、多くの植物が成長します。

ハームーン湿原はペリカンなど、多くの渡り鳥が冬を過ごす場所となっています。さらに湖の水面が高い年には、多くの鳥が産卵するための適切な条件を整えています。これまでこの地域には53種類の鳥類が確認されており、このうちわずか2種類が留鳥であり、その他は渡り鳥となっています。

ハームーンサーベリー、ヒールマンド湿原には、キツネ、ジャッカル、ヤマネコ、オオカミ、ウサギといった哺乳類が見られます。また各種の魚類も生息しています。

1968年、ハームーンサーベリー、ハームーンヒールマンドの西側半分とその西側にある砂漠の広大な部分が保護区として環境保護庁の管理下に置かれました。2002年には、環境保護高等評議会の承認事項に基づき、ハームーン保護区が拡張されました。1975年にはハームーンサーベリーの一部とハームーンヒールマンドの北の部分がラムサール条約の国際湿地に登録されました。この湿原は鳥類の保護に関する国際機関によって鳥類の重要な生息地とされています。

ハームーン湿原群は地域の住民にとって多くの経済的、社会的な価値を有しています。湿原に存在する芦原は、食料や燃料、ボート製造に使用されています。この地域で作られているガマのカーテンは世界的に知られています。また漁や狩猟もこの湿原で行われています。

ハームーン湿原は自然の最も重要なエコシステムであり、スィースターンバルーチェスターンの観光の魅力とみなされています。この美しい湿原は、特に春のハームーン湖の水が満たされる季節になると、特別な植物に覆われ美しい景観を生じさせます。これらの湿原は、希少な動植物の多くが生息する場所であり、砂漠の食物連鎖を支えるものとして、様々な鳥類の巣作りや脊椎動物の繁殖に適した場所となっています。

ハージェ山はパルティア帝国時代の遺跡の一つで、ハームーン湖に美しい島のように浮かんでおり、唯一無二の歴史的なスポットとしてこの湿原の魅力を増しています。

さらにイランの最古の文明の一つがこの湿原のそばで形成されました。それは3500年前の都市の遺跡、シャハレスーフテです。

ハームーン湿原はイラン高原の最大かつ最も重要な淡水の湖とみなされているだけでなく、鳥類の唯一無二の生息地であることから、世界の7大国際湿原として知られています。ハームーン湖の水が満たされている時期には、ボート乗りや魚釣り、狩りなどが楽しめます。この地域へのアクセスは容易であり、年間を通じて訪れることができます。