2月 22, 2017 18:51 Asia/Tokyo

タイルをはじめとする建設資材は、イランの非石油製品の輸出品目のひとつです。現在も、イラン各地で130箇所以上の工場でタイルが生産されています。

イランのタイル生産は長い歴史を有しています。タイルや陶器は、人類の古代の芸術のひとつとなっています。陶器は実際、人々のニーズによって生まれたもので、原始時代の人々が、自然に存在する資源を使用して作った最初の芸術品となっています。

 

 

陶器は土を焼いて作ったもので、陶器作りとは、焼いた土で器や品物を作る芸術のことを指します。最初に陶器を作ったのがどの土地のどの民族であるかははっきりしませんが、最初の陶器は土、水、火によって作られました。そのため、どこでも人が住む地点は、陶器が最初に誕生した場所と考えることができます。

 

 

イラン高原は、多様な気候により、西アジアで陶器産業が誕生し、広まった中心地のひとつです。この中で、イランでは、独特の地理とさまざまな文明の交流により、最も優れた陶器が創作されてきました。最近では、イランのラーレジーンという町が、世界の陶器制作の首都として紹介されました。

 

 

古代のイランでは、陶器芸術は、ザグロス山脈西部のロレスターン地方、ギーラーン州とマーザンダラーン州のカスピ海南岸、北西部のアーザルバイジャーン地方、南東部のスィースターンバルーチェスターン州とケルマーン州で広まっていました。イランの考古学調査団によって発見されたもっとも古い陶器は、ケルマーンシャー州のギャンジダッレのもので、その歴史は紀元前8000年期にさかのぼります。

 

ろくろの発明は、陶器産業に大きな変化をもたらしました。多くの研究者は、イラン高原の最初の住人が、ろくろや陶器を最初に発明した人々だと考えています。数千年間は、土を焼かずに作った器が使われていました。

 

土を焼いてできた最も古い陶器は、紀元前6000年ごろのものです。この頃の作品の多くが非対称であることは、その創作にろくろが使われていなかったことを示しています。しかし、カーシャーンのシアルクの丘やシューシュ南部の古代の跡地、チョガーミーシュの古代の丘などで見つかった作品は完全に異なっており、ろくろを使って作られたことを示しています。

 

時の経過と共に、陶器の原料の質や釜の変化によって、表面に釉薬を塗ったり、色をつけたりすることができるようになりました。陶器の表面に美しい輝きを持たせ、水をはじくようにするために、陶器の温度が下がった後で、表面に薄い釉薬が塗られます。

タイルは、陶器の部分と釉薬の部分から成っています。イランにおけるタイルの生産は長い歴史を有しています。アケメネス朝の宮殿やシューシュで発見された品々は、イランのタイル細工の歴史が紀元前400年にさかのぼることを物語っています。

 

イスラムが出現し、世界各地に広がったことにより、タイルは、モスクのドームや壁がんの装飾など、イスラム建築の特徴のひとつとなりました。16世紀から18世紀のサファヴィー朝時代など、さまざまな時代の作品に使われているタイルは、色や美しさの点で他に類を見ないものです。イスファハーンのシェイフロトフォッラーモスクのタイル細工は、世界でも最も美しいもののひとつとされています。

 

 

イランに最初の現代的なタイル工場が建設されたときから、半世紀以上が過ぎました。産業的な方法による最初のタイル生産者は、1957年に登録され、3年後に稼動を開始しました。現在では、イランで数十のタイル生産工場が活動しています。

 

イランには、熟練の労働力、十分なエネルギー資源、原材料、独自の技術、現代的な機械技術、注目に値する投資といった競争力が存在します。そのためここ数年、イランのタイル生産は7億立方メートルに達しており、世界で4位のタイル生産国となっています。

 

タイル生産は、イラン国内において高い価値を有しています。この産業の原材料の70%から100%が国内で生産されています。現在、国内の企業は、年間およそ1億立方メートルのタイルを生産し、毎日国内外の市場に供給しています。中央アジア、パキスタン、アフガニスタン、イラク北部、アラブ首長国連邦が、イランのタイルの主要な市場であり、この輸出による収入は、4億ドルを超えています。

 

タイル生産を行っているイランの各州の中で、ヤズド州はこの産業の中心地です。タイル生産はヤズド州の非常に古い産業のひとつで、700年の歴史を誇ります。そのため、この産業はヤズドの伝統産業となっており、時の経過や技術の進歩と共に、現代的な形を取るようになりました。

 

イランのタイルの50%近くがヤズド州で生産されています。それらは国内のニーズを満たすだけでなく、他国にも輸出されています。