3月 14, 2018 18:09 Asia/Tokyo
  • イランの経済
    イランの経済

今回は、これまでのこの番組を振り返り、イランの経済活動について総合的にお話ししましょう。

イランは、その地理的な状況により、昔から地政学的に重要な役割を果たしてきました。シルクロードは、東と西の文明の間にあり、イランを通過しています。かつて、イランは世界の東西南北の交易ルートにある重要な中継地でした。

 

現在も、新シルクロード構想の中で、イランはアジアとヨーロッパの国々の関係拡大において、効果的な役割を果たすことでしょう。イランの地理的な状況は、製品を移送する上で、ヨーロッパにつながる最短のルートを整えています。

 

ペルシャ湾やオマーン海を経由した国際水域へのアクセスも、イランの利点の一つです。これにより、中央アジアやコーカサス地方の国々を、国際水域や世界の重要な経済を担う国々と結び付けています。

 

さらに、イランの経済的な可能性や資源により、アメリカのコンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーは、イラン経済の今後を次のように予測しています。

 

「2035年までにイランのGDPは1兆ドルを超え、900万の新たな雇用が創出されるだろう」

 

イラン経済の主要な部分を占めるのは、エネルギー資源です。イランは、世界最大の天然ガスの確認埋蔵量と世界第4位の石油確認埋蔵量を誇ります。またイランの石油や天然ガスの生産にかかるコストは、他の多くの産油国に比べて低くなっています。

 

石油化学産業は、石油と天然ガスを中心に形成される産業です。イランは世界最大の石油・天然ガス資源を有することから、その石油化学産業の成長と発展は、イランにとって重要な問題になります。イランにおけるこの産業の重要な利点は、多様な原料を入手できること、国際水域へのアクセス、専門的な人材です。

 

石油化学産業は、イラン経済の重要な部門のひとつです。イランでは、50を超える石油化学コンビナートが活動しており、年間の生産能力は6200万トンで、非石油製品の輸出の40%近くを占めています。

 

この他、この番組でご紹介した問題の一つは、電力産業などの他のエネルギー資源への投資でした。

 

他の産油国と比較した際のイラン経済の特徴のひとつは、その多様性にあります。イランの経済は、石油や天然ガスに大きく依存していません。イランの国土面積は、164万8000平方キロメートルで、そのうちおよそ3分の1は農業用地となっています。栽培が可能な、およそ3800万ヘクタールのうち、実際に栽培が行われているのは、平均してわずか1500万ヘクタールとなっています。

 

FAO国連食糧農業機関の情報によれば、イランは世界の主要な農産品66品目の3分の1の生産において、世界で1位から10位に入っています。また、イランの果物などの生産品の多様性は、世界でも類を見ないものとなっています。

 

世界の主要な果物、ナッツ類の25品目のうち、15品目がイランで生産されており、ピスタチオ、ナツメヤシ、イチジク、リンゴ、オリーブ、ブドウ、ザクロ、サクランボの生産に関しては、国際的な地位を誇っています。

 

サフランなどの一部の農産品は、医学的な効果があるために基本的な農産品とはされていません。イランはこのような重要な農産品に関しても、世界の重要な生産国となっています。

 

サフラン

 

現代の世界では、多くのサービスを輸出することができます。科学技術は、これまで以上に貴重な商品となっています。この分野のイランの会社は、さまざまな国でおよそ700件のプロジェクトに関わっています。

 

イランの技術サービスの他国への輸出には、産業、石油・天然ガス・石油化学、発電所、道路や建物の建設といった分野が含まれます。また、トルクメニスタンとアゼルバイジャンの2つの隣国では、イランのエンジニアによって2つのダムが建設されています。

 

イランは鉱物資源の埋蔵量の点で、世界のトップ10か国に入っており、中東では1位です。世界の鉱物資源の埋蔵量のうち、イランは7%を占めています。

 

イランで確認されている銅の埋蔵量は3000万トン以上にのぼります。また、イランは、世界の亜鉛の埋蔵量の8%、鉛の埋蔵量の3%を占めています。さらに装飾用の貴石の生産国としては、世界第4位です。また、ウラニウム、石炭、鉄鉱石の埋蔵量の点でも、世界の上位に入っています。

 

イランの現在の経済的な特徴のひとつは、ナレッジベース企業の存在です。イランは優秀な人材の点で高い可能性を有しています。

 

ナノサイエンス学科

 

イランには、数百のナレッジベース企業や数十のサイエンスパークが存在し、航空宇宙、情報技術、電子、医学、石油・天然ガス・エネルギー、ES細胞、印刷や包装など、さまざまな分野で活動を行っています。これらの企業や機関は、多くの構想や発明品の登録や商品化により、国内外の市場に製品を提供しています。

 

IMF国際通貨基金の統計によれば、イランは2017年、世界経済ランキングで18位をキープしました。IMFによれば、イランの2017年のGDPは1兆6300億ドルで、世界193か国のうち、18位となっています。

 

この報告は、2018年のイランのGDPは1兆7240億ドルに達すると予想しています。この成長は、イスラム革命後、アメリカやその同盟国により、イラン国民に対して行使されてきた制裁による経済問題を抱えた中で、達成されたものです。