6月 07, 2023 21:45 Asia/Tokyo
  • アジアチーター
    アジアチーター

初回の今回は、世界の珍獣の1つ、アジアチーターをご紹介することにいたしましょう。

現在、多くの生態学者の間では、イランは動物の多様性の面で世界の上位10カ国に入ると考えられています。

 

アジアチーター

 

イランは、砂漠のほかにもアルボルズ山脈ザグロス山脈といった山岳地帯、カスピ海沿岸などの森林地帯、カスピ海ペルシャ湾オマーン海といった海洋エコシステムなど、多様性に富んだ国土を有していることから、豊かな動物の多様性に恵まれています。

 

イラン自然環境保護機関の統計によれば、現在イラン国内では1140種の動物、535種類の鳥類、そしておよそ650種類の魚類の存在が確認されています。また、イランにはおよそ6000種類の植物が生息していることから、イランは地域諸国で最も豊かな植物種の多様性に恵まれた国とされています。

 

イランに生息する動植物の一部は、現在個体数が減少しており、イランはこうした動植物を絶滅の危機から救おうとしています。

 

アジアチーター

 

世界でも珍しいとされている動物の1つに、アジアチーターがいます。この動物は、かつては西アジア地域の広範囲に分布していましたが、20年ほど前からはイランでしか見られなくなり世界のそのほかの地域では既に絶滅していますチーターの亜種であるアジアチーターは、イランの砂漠地帯の一部に生息するのみとなっています。

今日、アジアチーターはロシア極東に30匹から40匹のみが生息するとされるアムールヒョウと同様に、世界で絶滅の危機に瀕しているネコ科の動物とされています。

 

アジアチーター

 

 チーターは、ネコ科の動物とされ、長い手足と細長い胴体、広い胸部を有していることから、ある程度は猟犬に類似しています。しかし、イヌ科の動物とは異なり、頭部が小さく、首は短く、耳が丸くて小さいことからチーターはヒョウと混同されることが多くなっています。この2種類の動物は、体の表面にある斑点の形の違いから識別が可能です。チーターの斑点は小さい黒丸ですが、ヒョウの斑点は特に背中と体の側面において、黒い輪の中がオレンジ色に近く、梅の花のように見える梅花紋となっています。また、チーターは目じりから口にかけて黒い曲線があることも大きな特徴です。

 

アジアチーター

 

 

チーターは、背骨に柔軟性があり、肝臓と心臓が大きく、鼻の穴が大きく開いており、肺活量が多く、筋肉質で体が細いことから敏捷性や機動性に優れ、狩りに最も適した動物とされています。チーターは、時速90キロ以上で走ることができ、立っている状態からわずか2秒で時速70キロのスピードを出せます。こうした機動性は、最高のレーシングカーですら見られません。

 

しかし、チーターは短距離でしかこのようなスピードを出すことはできません。それは、猛スピードで走ることにより大量のエネルギーを消耗するからです。このため、動物は狩りをする際には最初の数百メートルで獲物を捕らえられるよう、スピードを加減しているのです。

 

チーターは、カモシカを捕らえるスペシャリストです。イランでは、レイヨウや羊、ヤギ、カモシカなどを捕らえており、さらにはウサギやキツネ、ジャッカルなどを捕らえることもあります。チーターの存続を脅かす最大の要因は、草原が破壊されていることにより、チーターの獲物となるこうした動物の個体数が減少していることと見られています。

 

アジアチーター

 

アジアチーターの個体数が減少しているもう1つの原因は、この動物の生殖のパターンに関係しています。アジアチーター妊娠期間95日間で、1回の出産につき4匹から5匹の子どもを生みます。注目すべき点として、アジアチーターは雌が交尾する相手を選ぶことから、飼育された状態での生殖率が極めて低いことが挙げられます。

 

この20年間において、イランの民間団体や政府系組織は、この希少な動物に注目してきました。このため、地元の人々は、アジアチーターの獲物となる動物が不足していることから、まれにアジアチーターに羊小屋を襲われた場合でも、これを阻止しないよう教育されています。それは、アジアチーターがオオカミとは異なり、彼らが所有するヒツジの全てを捕食することはないからです。

 

こうした現状に注目すると、アジアチーターの全個体数は、数年前に比べて増加していると断言できます。毎年8月31日は、こうした動物を保護する国民デーに制定されており、イランの人々はアジアチーターをイランのシンボルそして自然遺産として全世界に紹介することに努めています。

 

 

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