May 13, 2017 14:31 Asia/Tokyo

今回は、イランの非石油製品の輸出品目のひとつ、アーモンドについてご紹介しましょう。

 イランは、多様な気候と地理的な状況により、さまざまな農産物を栽培するのに適した条件を有しています。

アーモンドの木の歴史は紀元前3000年期にさかのぼると言われています。一部の植物学者によれば、アーモンドの木が最初に生まれた場所は、中東と南アジアでした。後に地中海沿岸にまで広がり、北アフリカやヨーロッパ南部に達し、18世紀半ばにはスペインからアメリカに入りました。

 

アーモンドの木の高さは4メートルから10メートルです。根は3メートルの深さにまで伸び、非常に頑丈です。そのため、乾燥にも強くなっています。アーモンドの木は湿度が低くても成長します。葉は細い楕円形で緑色です。春先になると、非常に美しい白やピンクの花をつけます。アーモンドの若木の幹は灰色をしていますが、少しずつ色が濃くなっていきます。

 

アーモンドは、胚珠が子房に包まれている被子植物です。アーモンドの実は、その成長段階のうち、2つの段階において食べることができます。最初の段階は、まだ実が完全に熟していない若い段階です。緑色をしたこの果実は春が旬で、外側は少し硬く、細かい毛で覆われています。その内側にも白くて柔らかい皮があり、アーモンドの細い種を包んでいます。時の経過と共に、この2つの皮が硬くなり、アーモンドの実ができあがります。

 

アーモンドは概してスイートアーモンドとビターアーモンドの2つに分類されます。ビターアーモンドには、アミグダリンという青酸配合体が含まれています。アミグダリンは、スイートアーモンドにはほんの微量しか含まれていませんが、ビターアーモンドの方が多量に含まれており、人間にとって有毒となる可能性もあります。一日にビターアーモンドを5個から10個食べることは、子供にとって危険です。

 

アーモンドはおいしくて栄養あるナッツのひとつで、適量を守れば、健康を保つのに役立ちます。アーモンドには、マグネシウム、銅、リンなどの鉄分が含まれています。

 

アーモンドにはまた、カルシウムが豊富に含まれているため、骨の強化を助けます。さらに、抗酸化力が高く、がんなどのさまざまな病気を予防し、肌の美しさやみずみずしさを保つのを助けます。

 

アーモンドにはビタミンEが含まれており、ビタミンEは、心臓病やがん、アルツハイマーにかかる可能性を減らします。また、良質の脂質、たんぱく質、食物繊維が含まれているため、糖尿病の患者にとっては理想的な選択肢です。アーモンドはマグネシウムも豊富に含んでいます。マグネシウムは、悪玉コレステロールを減少させたり、血圧をコントロールしたりする働きがあります。

 

アーモンドの木は、花、葉、根、実の部分を利用することができます。アーモンドの花を煮出したものを子供に飲ませると、下剤の役割を果たします。また、木の葉を煮出すと、胆のうや肝臓の機能を高めるのに効果的です。さらに、古代の医学では、アーモンドの木の根を煮出したものは、腎臓や脾臓をきれいにする効果があるとされています。

 

スイートアーモンドには、せきや呼吸器官の問題を解消したり、胃潰瘍を治したり、睡眠を促したりする効果があります。アーモンドオイルは、やけどや肌の炎症を治療するのに効果的です。また、はしかなどにかかった子供の痒みを抑えるために、体全体にアーモンドオイルを塗ると、症状を和らげることができます。

 

イランの古代医学では、一部の病気の治療のためにビターアーモンドを使用することが指示されています。例えば、ビターアーモンドを砕いたものと酢を混ぜたものは、頭痛を抑えるための塗り薬として、さらには顔のしみを除去するのに使われていました。アーモンドには腎臓の病気を治す効果があります。ビターアーモンドと片栗粉、ミントの葉を混ぜたものは、腎臓の痛みを和らげるのに効果的です。また、ビターアーモンドを砕いたものとブドウの果汁を混ぜたものは、腎臓結石や腎臓の不快感を取り除くのに効果的です。

 

ここ数年、世界ではアーモンドの消費量が増加しています。世界のアーモンド生産量は、2005年から2015年の間に、およそ2倍に増え、300万トンに達しています。この間、先進国の人々の間で、世界の生産量の半分近くが消費されています。

 

世界の乾燥ナッツ市場は300億ドルの価値があると言われており、中でもアーモンドは生産量の増加が著しくなっています。アーモンドにはさまざまな種類があり、各国で、それぞれの土地の気候や土壌に合わせて栽培が行われています。

 

アーモンドは、イランの非石油製品の輸出品目のひとつです。イランは、多くの地域で、乾地農法と灌漑農業により、アーモンドを栽培することが可能な国のひとつとなっています。

 

イランにおけるアーモンドの栽培面積は、15万ヘクタールを超えており、毎年、1ヘクタール当たり1トン以上のアーモンドが収穫されています。関係者によれば、この量のアーモンドの価値は、10億ドルに相当するということです。

 

イランのアーモンドは、世界20ヶ国以上に輸出されています。イラン国内でアーモンドを栽培しているのは、東アーザルバイジャーン、ファールス、ホラーサーン、ヤズド、ハメダーン、マルキャズィー、ザンジャーン、テヘラン、ガズヴィーン、セムナーン、チャハールマハール・バフティヤーリーの各州となっています。

 

チャハールマハール・バフティヤーリー州は、ザグロス山脈の中央部、寒冷地帯に位置し、独自の気候と肥沃な土壌、豊かな水資源の存在により、質の高いアーモンドを生産し、インドをはじめとする他国に輸出しています。

 

アーモンドからは、医薬品や衛生用品、化粧品なども生産されています。イランのナレッジベース企業は、アーモンドの特徴を活かし、さまざまな製品を生産することで、その経済的な価値を高めています。

 

その例として、イランの研究者による、植物性の保湿クリームの開発を挙げることができます。アーモンドオイルは、保湿力があり、かゆみや乾燥を防ぎ、紫外線から肌を守ってくれます。まもなく商品化される保湿クリームは、乾燥肌や敏感肌、さまざまな年齢の肌に使用することができます。

 

 

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