イランのイスラム体制は、国民投票によって築かれました。イランの体制責任者は全員、直接的あるいは間接的に、自由選挙における人々の投票により選出されています。つまり、人々の参加は、これまでの３４回の選挙の中で、大変大きな重要性を持っていたのです。

選挙：民主主義の顕現と人々の力の提示

宗教的民主主義体制では、人々の要求や意志は、特別な意味を持っており、これはイランのイスラム体制が出現し、存続した理由です。イスラム体制では、人々は選び、決断し、国の運営に関する将来を自分たちで決める権利を持っています。イスラム体制における人々の役割の重要性により、各時代の投票率は世界の人々の注目を集めてきました。

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師の言葉によれば、全ての国民、候補者と政府、選挙関係者は、選挙の力を知るべきであり、それは大規模で、安全を伴った健全で盛り上がる選挙の実施が、イスラム体制における貯蓄であり、それは大きな不可侵性を持つことになるからだとしています。

言い換えれば、選挙への人々の参加により、イランの政治的な力が国際体制の中で大きくなるだけでなく、人々がイスラム体制をさらに受け入れるようになります。ある意味で、次の大統領選挙と市町村議会選挙など、選挙の時期とは、イスラム体制における人々の力を示す時期といえるでしょう。選挙は、人々の実質的な政治参加の場なのです。

各選挙における人々の投票率

憲法によれば、イランでは４種類の選挙が行われます。イランの憲法では、人々は専門家会議の議員を選ぶことができます。専門家会議とは国民によって選ばれた、特定の資格を有する聖職者からなる評議会で、最高指導者の選出と監視を担っています。イランの人々はまた、国会議員を選挙で選びます。

最も重要とされる３つ目の選挙は、大統領選挙です。人々はこの選挙に参加することで、行政権の責任者である、４年の任期を持つ大統領を選びます。４つ目は市町村議会選挙です。数日後、イランでは第１２期大統領選挙と、第５期市町村議会選挙が行われます。政治問題の専門家で大学教授をつとめるハーニーザーデ博士は次のように語っています。

「明らかに、イスラム体制はイスラム革命が勝利した時から、人々の票に大きな重要性を与えている。イランの憲法では、人々は体制におけるもっとも大きな権力を持ち、誰も人々からこの権力を奪うことはできないとされている。イスラム革命の創始者ホメイニー師は、人々の票を常に尊重して常に強調していた。だれも投票において、自分の見解を他者に押し付けることはできないと。つまり、イランのイスラム体制は、地域、そして世界においても初めての宗教的民主主義の模範であり、人々の票を大変に重視してきた。実際、人々はイスラム体制の政治権力構造に重要な役割を果たす鍵とみなされており、イスラム体制の存続は、大統領選挙や議会選挙など、様々な選挙への人々の参加に依拠している。」

これまでに、イランの憲法で定められた４種類の、３４回の選挙が行われてきました。毎回これらの選挙における投票率は、世界各国に注目されてきました。イランの各選挙における投票率の平均は、ほかの国に比べて高く、６５％となっています。

イスラム革命の勝利から１年後、つまり１９８０年２月に行われた最初の大統領選挙の投票率は、６７．４２％でした。また、１９８１年１０月に行われた第３期大統領選挙の投票率は７４．６２％の高い数値を記録しました。この選挙では、現在最高指導者を務めているハーメネイー師が、９５％以上の得票率で大統領に就任しました。

また、１９８５年８月に行われた第４期大統領選挙の投票率は５４．７８％、５期、６期、７期、８期、９期はそれぞれ順に５４．５９％、５０．６６％、７９．９３％、６６．７７％、５９．７６％でした。

過去に、およそ８５％の投票率を記録した選挙もありました。２００９年に行われた第１０期イラン大統領選挙では、投票率が８４．８３％にまで達しました。この投票率は、歴史的な記録となった、１９７９年のイスラム共和制の国民投票における９８％の投票率に次いで、高い数値となっています。また、前回の第１１期大統領選挙でも、７２．９４％の投票率を記録しています。

選挙における最大限の国民の政治参加

４種類の選挙への国民の大々的な参加は、西アジア地域、および世界でも類まれな現象です。選挙における人々の英雄伝的な参加は、イランのイスラム体制を受け入れ、支持する中での人々の役割によるものです。

様々な、そして大々的な政治参加は、敵の陰謀から体制を守る上での「戦略的な貯蓄」なのです。このため、選挙に対する人々の参加の度合いは、イランにおける重要な力となっており、選挙における最大限の参加は、イランにとって治安と国家権力という重要な要素を与えているのです。