どのような運動や革命も、発火点が存在します。１９７９年のイスラム革命の発火点は、その勝利からおよそ１６年前の１９６３年に当たります。

今から５４年前の１９６３年６月５日、イラン暦１３４２年のホルダード月１５日は、イランの人々が、イスラム革命創始者のホメイニー師の逮捕の知らせを聞いた後、体制に反対し、大規模な抗議運動を行った日です。ホメイニー師はゴムで歴史的な演説を行ったことにより、パフラヴィー王政の当局によって逮捕され、このためにイランのイスラム教徒の人々の運動が始まりました。

パフラヴィー王政の当局はこの大規模な運動に対抗するため、抗議者に攻撃を加え、彼らを激しく弾圧しました。このため、多くのイラン人が殉教し、負傷しました。

イランの人々による、この歴史的なホルダード月１５日の蜂起は、パフラヴィー朝政権に反対する人民革命の発火点で、イランの政治的、社会的運命を決定しました。この蜂起のあと、パフラヴィー政権のシャーと体制の偽りの姿が暴かれ、イスラムや人々に反対する本質が明らかになりました。この日の後、ホメイニー師に導かれたイスラム教徒の戦いは続き、最終的に１９７９年２月にイスラム革命が勝利しました。

たしかに、ホメイニー師による目覚めの運動は以前から開始されていましたが、ホルダード月１５日の人々による流血の蜂起は、抑圧的な王政に反対する運動であり、この中でホメイニー師はイランのイスラム運動のリーダーだとされたのです。

ホメイニー師の専制体制との戦いに満ちた生涯の中で、この蜂起はひとつの転換点とみなされます。イランのイスラム革命はホルダード月１５日の蜂起の続きだとされていますが、この蜂起は、イスラム、ホメイニー師、人々という３つの要素に基づいて形成されました。

この蜂起は、確かに厳しい弾圧を受け、１年後、ホメイニー師がトルコに、そしてその後イラクに追放となりました。しかし、この蜂起の後、イランの聖職者がパフラヴィー政権やその支持者であったアメリカに対する闘争を拡大しました。

この蜂起が発生した原因を、イラン国外に探す必要があります。ケネディ大統領が当選した、１９６０年のアメリカ大統領選挙により、アメリカの外交政策は変化しました。ケネディ大統領はアメリカ共和党とは逆に、第３世界のアメリカの衛星国の危機に対する、柔軟な政策を信用していました。ケネディ大統領は軍事協定ではなく経済協定を締結し、軍を使う代わりに諜報活動や治安活動に力を入れ、平和部隊などの文化的計画を強化し、アメリカと癒着した体制による、コントロールされた選挙や民主主義を広めました。

アメリカのケネディ政権の道具だった、アメリカ衛星国の非軍事的な政権の樹立は、この目的のためでした。イランのモハンマド・レザー・シャーはこのころから、アメリカとイギリスによる１９５３年のイランでのクーデターのあと、アメリカの支配下に置かれました。彼は王政の存続とアメリカの満足のために、ケネディ大統領の政策を実施し、見せ掛けの改革を行うしか方法はなかったのです。この改革は、白色革命とされ、イスラムを払拭し、西側の文化をイランに広めようとしました。ホメイニー師は、イスラムに反するモハンマド・レザー・シャーの計画の危険性を明らかにし、イランの人々にこの計画を知らせたのです。

ホメイニー師の警告を与える演説により、白色革命に反対する人々の大規模な抗議が始まりました、モハンマド・レザー・シャーはゴムのフェイズィエ神学校を攻撃し、抗議者を弾圧しました。しかし、この弾圧により、王に対する抗議が激化したのです。

宗教的な行進や、政権に反対する革命的で、ホメイニー師を支持するスローガンは、テヘランや各都市で日々拡大するようになり、この波は、１９６３年のホメイニー師の演説後、ゴムやテヘラン、そのほかの都市で急激に広まりました。

次第にすべての人が王政とその反イスラム的な計画に反対し、王政はホメイニー師の逮捕が唯一の手段だと考えました。ホメイニー師逮捕のニュースはゴムで、その後、そのほかの都市に広がり、これによって人々の抗議が激化することになりました。これらの都市に非常事態宣言が発令され、この抗議運動は、数百人の死者と数千人の逮捕者を出し、極度に弾圧されました。

王政側は、ホメイニー師とその教友を逮捕し、ホルダード月１５日の蜂起を弾圧すれば、抗議運動は終わると考えていました。一方で、ホメイニー師の立場はまったく変わることなく、またホメイニー師に対する支持も薄れることなく、そして人々が抗議の場から姿を消すこともありませんでした。蜂起の指導者として人々に受け入れられていたホメイニー師の演説は続けられました。

この蜂起は確かに、王政によって無慈悲にも弾圧されましたが、立ち消えるどころか、１６年後の１９７９年２月に結実し、イランの専制君主制を排除しました。

ホメイニー師は、１９７９年のイスラム革命の勝利から数年後、この１９６３年の蜂起に関して、次のように語りました。

「ホルダード月１５日の蜂起は、国民が一部の独裁者的な存在の侵害や強制を受けたとき、抑圧に抵抗し、自分たちの運命を決めることができるのは唯一、国民の意志であるという事実を証明するものであった。この日は国民の祝福された運命の幕開けとなった。確かに、清らかな若者の血がこのイランの地に流されたが、政治、社会の重要な分野において大きな変化を生み出した」

ホメイニー師はまた次のように語っています。

「ホルダード月１５日の蜂起で重要だったのは、おろかな考え方により、自身を国民の後見人と考えていた王政のもろい隠れた威厳を打ち砕いたことだったが、国民の団結した、調和の取れた行動により、王政は一度に崩れ去った」

ホルダード月１５日の蜂起は、王政と戦うイスラム運動とそのほかの政治運動をはっきりと区別した出来事でした。この蜂起はイランの人々の蜂起の始まりでしたが、完全にイスラム的でした。この運動のイスラム的性質は、高位聖職者が指導者だったことから、完全に明らかです。

ホメイニー師の指導により、長年にわたり王政が宣伝していた宗教と政治を切り離す陰謀は無駄に終わり、イランのイスラム教徒は、礼拝や断食と同じように、宗教的な義務となった戦いの中に足を踏み入れるようになりました。この闘争におけるイデオロギーはイスラムであり、またその原則は、コーランや預言者ムハンマドとその一族の慣例によるものです。

ホルダード月１５日の蜂起の２番目の特性は、ホメイニー師の役割が際立っていることです。ホメイニー師は恒久的に政教分離体制を終わらせました。闘争におけるホメイニー師の動機は、世界の帝国主義に反対する、非宗教的な左派的闘争の動機とは似ていません。ホルダード月１５日の蜂起は、宗教的であり、誠実なイスラム法的な義務の遂行のために行われたのです。

３つ目の特性とは、この蜂起が完全に人々によるものだったことです。この運動は特定の集団によるものではなく、すべての人々が参加しました。すべての人々を闘争に踏み込ませ、互いにつなぐものは、イスラムだったのです。

この運動が人々による運動だった理由はイランでイスラムの教えが根付いていたことです。指導者と人々の関係は、人々とかかわりのあった聖職者によって築かれました。この関係構築の拠点となったのは、モスク、宗教的な会合、巡礼所やホセイニエといったそのほかの宗教施設でした。

ホルダード月１５日の蜂起における４つ目の特性として、外国支配の排除が挙げられます。この運動はイスラム的だったことから、人々の中から起こった運動であり、イスラムの思想では神の道に逸脱が存在しないことから、闘争における政治的な方針も逸脱することがありませんでした。ホメイニー師は当初から、アメリカ、イギリス、ソ連はイランの人々を迷わせる国だとして、外国勢力に対する闘争を始めました。

イランの人々は、独立のイデオロギーによる、最高の政治的な独立を、ホメイニー師の指導の中で享受していました。ホルダード月１５日の闘争が発生したこういった要素により、イスラム革命が勝利することになりました。そして現在も、こういった要素により、イスラム体制は発展し、力強く歩み続けています。

イスラム的で、人民的であったこと、指導者の支援、これらは、およそ４０年間に渡るアメリカやその同盟国による、イラン国民への敵対措置に対抗する中で、イスラム体制が成功した基本的な要因です。まさにこのイスラム革命の特性により、それがイスラムの価値観に従った、地域の人々の、そして覇権主義体制やアメリカと癒着した体制への闘争の模範となっているのです。

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