6月 07, 2017 15:47 Asia/Tokyo
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    ブランフォードギツネ

今回は、ブランフォードギツネについてお話することにいたしましょう。

ブランフォードギツネ

 

イランに生息するキツネの中で、最も珍しいとされるのはブランフォードギツネです。このキツネは、非常に価値のある美しい毛皮が取れることから、毛皮ハンターに注目されています。しかし、近年では個体数が激減したことから絶滅の危機にさらされています。ブランフォードギツネは、イヌ科の肉食動物です。また、イランで最も小型の、しかも最も美しいキツネと考えられています。

 

ブランフォードギツネ

 

ブランフォードギツネは、体格の面では通常のキツネよりもやや小さく、目じりから顔面の下にかけて黒い線が走っています。また、太く長い尾が生えており、耳の後ろは灰褐色となっています。体毛は非常に多く、背中の毛の色はこげ茶色のかかった灰色で、背面は濃い灰色です。体長は40センチから50センチほどで、尾の長さは33センチから41センチ、そして体重は2.3キロから4.5キロほどとなっています。

 

 

ブランフォードギツネは、砂漠に生息するそのほかの全てのキツネと同様に耳が大きく、暑さを遠ざけることができます。しかし、そのほかのキツネとは違い、足の裏には毛が生えておらず、太陽の光により灼熱した砂漠の砂から足を守ることはできません。

 

ブランフォードギツネのトレードマークは、長く毛のボリュームの多い尻尾です。この尻尾は寒い時期に手足の一部を覆い、寒さをしのぐのに役立ちます。この尻尾はまた、まっすぐに立てることで敵を威嚇する働きをします。また、これにより尻尾の下にある肛門線から分泌液が分泌され、強い悪臭を放つことからハンターや縄張りを侵そうとする他の仲間などを遠ざけます。もちろん、このことでハンターから完全に身を守れるわけではありませんが、このキツネがもう一度自分の生活に戻るチャンスができることになります。

 

ブランフォードギツネ

 

ブランフォードギツネは敏捷性があり、賢く、一定の時間を時速50キロで走ることができます。研究者によれば、ブランフォードギツネは夜行性で、通常は単独で狩りをするといわれています。

ブランフォードギツネは、そのほかの全ての種類のキツネと比較すると雑食性が強く、種なしブドウや熟したウリ科の果物を、特に好んで食べます。さらに、荒地に存在する昆虫なども捕食しますが、その一方で肉食性でもあり、ネズミやウサギなどの小動物を捕まえて食べます。キツネにより、こうしたげっ歯類が捕食されることは、結果的に生態系のバランスの維持につながりますが、それは樹木の皮をかじるウサギや農作物を荒らすネズミの個体数のバランスが取れることによります。

 

ブランフォードギツネ

 

ブランフォードギツネは通常、人間を恐れていないことから、人間を襲うことはめったにありません。このため、イランでもこの種のキツネに人間が襲われたケースは、ほとんど報告されていません。

 

ブランフォードギツネの生息場所の地図

 

ブランフォードギツネの繁殖形態は胎生で、つがいは一生解消されず、冬の半ばに交尾します。妊娠期間は、50日から60日で、1回の出産で1匹から3匹の子どもを生みます。雌ギツネは、生後2ヶ月間授乳し、子ギツネは生後8ヶ月から1年で性的に成熟します。ブランフォードギツネの寿命は4年から5年とされていますが、複数の報告からは10年間生きたキツネもいることが分かっています。

 

ブランフォードギツネ

 

ブランフォードギツネの生息場所は、山岳地帯のステップや準砂漠地域とされています。ブランフォードギツネは、一般的には標高2000メートル以下の高原や乾燥した山々に見られます。イラン高原で記録された全ての報告例から、ブランフォードギツネは気温の高い谷や標高の高い尾根には生息せず、通常は平原に近い山や丘に生息していることが判明しています。

 

ブランフォードギツネ

 

ブランフォードギツネの生息地域は、世界的に見るとパキスタン南西部のバルチスタン州、アフガニスタン、そしてトルクメニスタンとされています。イラン国内では、南東部と中部に生息しています。また、北東部ホラーサーン地方東部、南東部ケルマーン州、南部ファールス州、中部イスファハーン州やヤズド州でも目撃されています。

ブランフォードギツネ

 

ブランフォードギツネの個体数が激減した、最も重要な原因は密猟です。このキツネの毛皮は高額でうれることから、ハンターに注目されています。このため、近年においてはブランフォードギツネの個体数が激減し、IUCN国際自然保護連合の定める、絶滅の恐れがある野生生物のリストであるレッドリストに掲載されています。

 

ブランフォードギツネ

 

ここ数年、ブランフォードギツネはイラン野生生物保護機関により保護されています。幸い、イラン東部南ホラーサーン州にある、イラン最大のナーイバンダーン自然保護区の自動カメラにより最近撮影された映像には、ブランフォードギツネの姿が数多く写っており、このキツネの絶滅の未然防止に向けた希望の光が見えてきています。

 

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