ペルシアリス (動画)
今回は、ペルシアリスをご紹介することにいたしましょう。
イランには、世界で最も美しいリスの一種であるペルシアリスの生息地が存在します。しかし、残念ながら、このリスはその独特の行動形態や孤立志向、長く美しい尾を持つことから密猟者に注目され、乱獲されたことから絶滅の危機に瀕しています。
ペルシアリスは、コーカサス地方、アナトリア地方、イラン国内のザグロス山脈、地中海東部地域に生息しています。イランにおけるこの動物の主な生息地域は、イラン西部のザグロス山脈の森林地帯、特にイラン北西部・西アーザルバージャーン州の町サルダシュトにあるカシの林です。
ペルシアリスは、樹齢が長く、しかも高さのあるカシの木の間に生息しており、ドングリの実を主食としています。リスはドングリの実を集めて、岩穴や樹木の洞、地中などに隠し、エサが見つかりにくい冬のために蓄えます。しかし、非常に忘れやすい性質のため、隠したドングリの実の全てを見つけ出せないのが普通です。こうして、リスが地中に残したドングリの実は春に発芽して新たな樹木となるため、リスはイラン西部におけるカシの樹林の拡大や再生に大きな役割を果たしているといえます。
ペルシアリスの平均的な体の長さは、20センチから25センチほどとされています。背中には、茶色を帯びた灰色の毛が生えており、腹部には黄色い毛が生えています。このリスの頭部と尻尾の毛はエンジ色で、この点はイランに生息するほかのリスとは違った特徴とされています。もっとも、ザグロス山脈北部の森林から南に行くにしたがって、このリスの尻尾はオレンジ色や黄色などの明るい色に変化してゆきます。
ペルシアリスの耳は短いですが目立っており、耳の先には長い毛が生えているのが分かります。また、この種のリスの手は4本指で、足は5本指となっています。
ペルシアリスの尻尾は、危険が迫った際の助けとなります。即ち、危険を感じたときにはその長く鋭い爪を駆使して急速に木に登り、長い尻尾を使って木の枝から枝へと飛び移ります。リスの尻尾は、飛びはねる際に体のバランスをとる役目を果たしています。
リスは、寝るときに自分の尻尾を枕として使い、またこのことは体を温かく保つ上でも役立ちます。リスの尻尾はまた、仲間同士でコミュニケーションをする手段でもあります。リスは、尻尾を振ることで互いにコミュニケーションをとることができるのです。
リスは大抵、巣を作ることはなく、樹木のうろなどを巣穴として利用します。彼らは木のうろなどを見つけると、そこを柔らかい草などで覆い、そこで休みます。
興味深いことに、リスは単独で生活するにもかかわらず、寒さが厳しい時には体温を維持し、巣穴の温度を保つため、他のリスを客として受け入れ、外部から来たリスは気候が暖かくなるとその巣を出て行きます。また、巣穴がノミに襲われたり、その他の動物などに妨害された場合、リスはそこを出て新しい巣穴を見つけます。
リスは日中に活動し、多くの場合単独で生活しています。ペルシアリスは、水浴びをあまり好みませんが、うまく泳ぐことができます。夏の暑い時期には、リスの活動時間帯は日の出の後のおよそ2,3時間に絞られます。即ち、午後は巣穴の中で休み、日没前に少々活動してから巣穴に戻り、あたりが暗くなってから巣穴から離れることはめったにありません。
ペルシアリスは、冬の終わりから春の初めにかけて交尾します。妊娠期間はおよそ30日間で、リスの子どもは生まれた直後は体毛がなく、目が開いていません。彼らは、1歳で成熟し、寿命はおよそ12年間です。
ペルシアリスは、愛玩動物として捕獲、密売されることが多いため、この動物の生存は激しく脅かされています。さらに、ペルシアリスの多くは運搬される際に丁寧に扱われないために命を落としており、この点に関する懸念を引き起こしています。
一方、イランにおいて環境保護の活動家により数多くの措置が講じられている一方で、ペルシアリスの存続を脅かすもう1つの要因が存在します。それは、この動物の生息地の破壊です。
イラン西部のカシ林に、この地域で牧畜業を営む村人や遊牧民がやって来て、家畜のえさにするためにカシの木の枝を切断していることから、カシの木が枯れてしまい、この地域に生息するリスの主要な食物源が失われています。このことは、地域の環境保護に大きな役割を果たしているペルシアリスにとって深刻な脅威となっています。
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